特定調停とは?任意整理との違いやメリット・デメリットを解説

2023.08.18 債務整理
特定調停とは?任意整理との違いやメリット・デメリットを解説

債務整理について調べていると「特定調停」という言葉を耳にすることがあります。特定調停とはどのようなもので、任意整理など他の債務整理とどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、特定調停の概要とメリット・デメリットに加え、任意整理との違いや特定調停の流れなどについてわかりやすく解説しています。

特定調停とは

特定調停とはどのようなものなのか、その概要について解説します。

債権者と返済方法を交渉する債務整理の1

特定調停は、簡易裁判所を通じて債権者と交渉し、借金返済について和解を目指す債務整理の1つです。

調停」と呼ばれる通り、調停委員が間に入って債権者と債務者双方の話を聞き、両者が納得のうえ合意できる返済条件を成立させる手続きとなります。

特定調停と任意整理の違い

特定調停では、債権者と話し合いで返済条件の軽減を目指す点において、任意整理と似ています。特定調停と任意整理との違いとして、もっとも大きな点は裁判所を通すかどうかです。

任意整理では裁判所を通すことなく、債権者と直接交渉を行い、利息のカットや返済期間の見直しなどを行います。特定調停では調停委員が仲介を行い、和解を目指す点が異なります。

このほかにも、特定調停と任意整理には細かな点においていくつかの違いがあります。特定調停のメリットとデメリットを確認しながら、以下で更に詳しく見ていきましょう。

特定調停のメリット・デメリット

特定調停のメリットとデメリットについて、任意整理との違いも見ながら解説します。

特定調停のメリット

特定調停のメリットとしては、基本的に債務者が自身の手で手続きを行う債務整理のため、費用が安く済む点が挙げられます。

任意整理を弁護士へ依頼すると債権者1社あたり5万円以上の着手金が発生するのに対し、特定調停では債権者1社あたり500円の手数料と裁判所へ送る予納郵便切手(裁判手続きの際に必要となる、あらかじめ裁判所へ送るための切手)、裁判所までの交通費だけです。

自力で手続きするとはいえ、調停委員に仲介に入ってもらえるため、債権者にだけ有利な条件となることがない点もメリットといえます。

裁判所へ申し立てを行った後は債権者からの督促や取り立てもストップするため、精神的な負担も軽くなるでしょう。なお、任意整理では弁護士や司法書士へ依頼した時点から取り立てがストップするため、専門家へ任意整理を依頼した方が取り立てからは早く解放されます。

特定調停のデメリット

特定調停は自身で手続きをする点が費用面でメリットになる反面、書類作成の手間がかかるうえに、手続きを進めるのに要する時間も長引くといったデメリットにもなっています。

申立書以外にも財産の明細や支払い不能であることを証明する資料、債権者の一覧などが必要となります。平日の昼間に裁判所へ行く必要があるため、仕事によっては時間を作るのが困難な場合もあるでしょう。

そのうえ、特定調停に債権者がよい返事を出さないケースも多く、調停が成立しない可能性も高いのです。調停が成立しなければ、一括請求や遅延損害金の加算に加え、差し押さえにまで進んでしまうリスクも高く、手間と時間をかけたのに失敗となってしまうケースも少なくありません。

実のところ、特定調停はメリットよりもデメリットの方が大きい場合があるため、専門家が特定調停をあまりおすすめしない理由にもなっています。

専門家へ依頼して任意整理を進めた場合はほぼ和解が成立するのが一般的で、手続き中に過払い金が判明すれば払い過ぎた利息が取り戻せる可能性もあります。

費用の安さだけで特定調停を選ぼうと考えているのであれば、一度専門家の無料相談などを利用して相談してみることをおすすめします。

特定調停の流れ

特定調停の申し立てをする場合、概ね以下のような流れで進むこととなります。

書類準備~調停

特定調停の申し立てをするにあたり、まずは書類の準備を始めます。

特定調停の申立書は、申し立てをする簡易裁判所で入手します。申し立てをする裁判所は、通常相手方となる債権者の営業所在地を管轄する簡易裁判所となるため注意が必要です。

また、債権者が複数社ある場合、借入先によってそれぞれ簡易裁判所が異なるケースもあります。原則としてはそれぞれの裁判所へ申し立てを行うこととなりますが、東京簡易裁判所など一部の裁判所では、複数の申し立てをまとめて受け付けてくれる場合もあります。

主な必要書類としては

 

  • 申立書
  • 債権者一覧表
  • 財産の明細書
  • 特定債務者(支払いが困難である債務者)であることを証明する資料

 

などの準備が必要です。書類の準備ができたら、債権者の数だけの申立手数料と予納郵便切手と共に簡易裁判所へ提出し、特定調停の申し立てを行います。

申し立てを行った後は「事情聴取期日」「調整期日」と呼ばれる調停が開かれます。事情聴取期日では債務者が返済方法や希望について話し、調整期日では債権者と債務者双方が返済方法について話し合うこととなります。

ここで双方が納得して調停が成立となった場合は、合意した返済方法に従って返済が始まります。合意に至らなかった場合は、調整期日を複数回重ねるケースもあります。

調停が不成立となった場合

調整期日を重ねても合意に至らなかった場合、調停不成立となってしまいます。調停が不成立となった場合、債権者側から裁判を起こされるリスクや、強制執行となる可能性が高まるでしょう。

一生懸命自力で書類の準備をし、仕事を休んで裁判所へ赴いて申し立てを行い、月に一度の調停に出廷して数ヵ月以上かけて話し合いをした結果調停不成立となった場合の精神的ダメージはかなり大きくなります。

調停が成立したとしても、任意整理よりよい条件で和解となるケースはあまり多くはありません。専門家へ支払う費用を抑えたばかりに却って損をすることのないよう、手続きする際は慎重に決めるようにしましょう。

借金で困ったら専門家へ相談しよう

特定調停をするか任意整理にするか、それとも個人再生や自己破産が選べるのかなど、債務整理について相談したい場合は、債務整理の取扱いが豊富な弁護士や司法書士へ一度相談してみましょう。

みどり法務事務所の『スマサポ』では、債務整理のご相談に無料で対応しています。

借金の減額にもっとも最適な方法についてのご提案や依頼された場合の見積りなど、不明点や不安があればすべてご相談ください。返済方法についても相談可能ですので、まずはメールまたはフリーダイヤルよりお気軽にお問い合わせをお待ちしています。

まとめ

特定調停は、簡易裁判所を通して債権者と話し合い、返済方法について双方が合意できる条件での和解を目指す債務整理の1つです。

債務者が個人的に簡易裁判所へ申し立てることで調停が可能となり、かかる費用も小さくできるメリットがあります。その一方で、債権者がなかなか合意しないケースも多く、調停が不成立となった場合の一括請求や差し押さえのリスクもあるため、債務整理の中ではあまりおすすめとはいえない手続きでもあります。

手間と時間をかけてでも自身の手で申し立てをしたいという場合を除き、専門家へ依頼して任意整理を検討した方がメリットも大きいことが多いものです。どうすればよいか不安な場合は無料相談なども利用しつつ、スムーズに借金問題を解決できるようにしましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号