督促状とは?催告書との違いや無視するとどうなるのかを解説

2023.10.31 債務整理
督促状とは?催告書との違いや無視するとどうなるのかを解説

借金に関する連絡として届くことのある督促状とは、どのような文書なのでしょうか。催告書との違いや無視するとどうなるのかなど、気になる方も多いことでしょう。

この記事では、督促状の概要や無視した場合に起こることなどについて解説しています。督促状が届いた場合の対処法についても紹介していますので、どのように扱えばよいか困った場合の参考としても役立つ内容となっています。

督促状とは

督促状とはどのようなものなのか、催告書とどう違うのかなど、概要について解説します。

借金の返済を滞納した際に届く書面

督促状とは、借金の返済が遅れた場合に届く返済を催促する書面です。金融機関などの債権者が返済期日を過ぎても借金の返済が確認できないと、借主である債務者に対して督促状を送付します。

督促状は返済が確認できなくなってから数日~1週間程度で届くのが一般的です。督促状には

 

  • 返済が確認できないため支払ってほしい
  • 返済額
  • 返済先、支払期日

 

などが記載されています。

借金が支払えずに滞納した場合はもちろん、口座に準備した残高が不足していた場合や、返済期日を間違えていて滞納した場合でも督促状が届きます。借金の滞納が継続した場合、督促状が複数回にわたって届く場合もあります。

基本的には、支払いが滞っている借金を早期に返済するよう促すための書面です。

催告書との違い

債権者から届く督促状と似た書面に「催告書」と呼ばれるものもあります。催告書も借金の返済に関する書面である点は督促状と同じですが、より強い口調で返済を求める文章が書かれています。

督促状と催告書の違いに関しては、法的な拘束力の違いはありません。

しかし、督促状を何通か送っても返済がない場合に、差押え前の最後の警告として催告書を通知するというのが慣習となっており、多くの債権者が利用しています。したがって、催告書は、「返済しなければ法的措置をとる」という、より強力な言葉で返済を促し、「内容証明」という差出人・名宛人・内容を証明する郵便で郵送されます。民法では、催告をすることによって時効期間を延長するという効果があります。

その効力は、6ヶ月以内に提訴を行う前提として、提訴を行うための準備期間となる緊急措置として有効となります。そして、債権者が提訴する場合、内容証明によって郵送された催告書は、催告をしたという証明書として裁判所に提出されます。

ゆえに、催告書を受け取ってから早々に返済をするなど何らかの対応をしなければ提訴されてしまい、差押えを免れなくなってしまう可能性が高くなります。

では督促状を無視するとどうなるのか、催告書はどのタイミングで送られてくるのかなどについて、以下で更に詳しく見ていきましょう。でしょうか。

督促状を無視するとどうなるのか

督促状を無視した場合の流れや、催告書が届いてからの流れについて解説します。

督促状を無視した場合の流れ

督促状を無視し続けた場合、概ね以下のような流れを取ることとなります。

返済を滞納してから

数日~1週間:メールや電話、ハガキなどで返済が確認できなかった旨の連絡が入ります。1回目の督促状が届くのもこの時期です。

1週間~1ヶ月:初回の連絡や督促状を無視していると、頻繁に連絡が入るようになります。何度も電話がかかり、督促状も複数回届くでしょう。督促状の文面は回数を追うごとに厳しい内容となっていくのが一般的です。

12ヶ月2ヶ月滞納を続けると、事故情報として履歴が残り、いわゆるブラックリスト入りした状態となるのが一般的です。返済額以外に損害遅延金なども加算され、滞納した分と合わせて請求額は高額になっていきます。

2ヶ月以降2ヶ月を超えても無視を続けていると、ある日1通の催告書が届き、法的手段を取ることについて示唆されます。借金の返済も分割でなく一括で請求され、保証人の元へも請求の連絡がいくこととなるでしょう。

催告書が届いてからの流れ

催告書が届いてからの流れは、概ね以下のようになります。

催告書は内容証明付きの郵便で1度だけ届きます。

催告書には

 

  • 再三の請求にも関わらず返済がないこと
  • すみやかに支払われなければ法的措置を取ること
  • 滞納分に加え、損害遅延金などが加算された請求額
  • 振込先

 

などが記載されています。催告書は民法にさだめられた流れに従って送られてくる書面です。催告書が届いたら、債権者は裁判を起こすための準備に入っていると理解した方がよいでしょう。

催告書が届いて1ヵ月ほど経過すると、裁判所から「支払督促」または「訴状」と書かれた書面が届きます。訴状は裁判で訴えられたことを通知する書面で、記載された指定日時に裁判所へ出頭しなければなりません。

支払督促が届いた場合は、2週間以内に異議の申し立てを行う必要があります。督促への異議申し立てを行うと訴訟へと進み、支払い方法や返済額などについて、債権者と協議を行う流れとなります。

裁判所からの通知を無視した場合、相手側の言い分を全て認めたとみなされ、遅延損害金などが加算された借金を一括請求される判決が出てしまいます。判決が確定後は「仮執行宣言付支払督促」などが届き、債権者が財産の差し押さえを実行できる状態となります。

差し押さえとは

差し押さえとは、借金の返済をしない債務者の財産について、債権者が回収するために使われる手段の1つです。借金以外に、カードのショッピングや税金の支払い、養育費の支払いなどを怠った場合も財産が差し押さえられることがあります。

差し押さえの対象となるものは

 

  • 不動産
  • 自動車
  • 預貯金
  • 給与
  • 貴金属、ブランド品

 

など多岐にわたります。66万円未満の現金や衣類など、生活に必須のものなどは対象から外されるものの、大きな財産はほぼ回収されると考えてよいでしょう。

督促状が届いた場合の対処法

財産の差し押さえにあわない為には、早い段階で適切に対処することが大切です。督促状が来た場合の対処法について解説します。

心当たりがあるかを確認する

督促状が届いたら、まずは心当たりがあるかどうかを確認しましょう。中には悪徳な業者からの架空請求である可能性もあるからです。

ただし、心当たりのない金融機関や会社名からの督促状であっても、安易に「これは架空請求だろう」と考えるのはおすすめしません。金融機関から債権回収業者へと債権が移動しているケースもあるため、書かれている内容についてしっかりと確認することが大切です。

金融機関へ連絡する

心当たりがあると判断した場合は、無視せずに早い段階で金融機関などの債権者へ連絡しましょう。返済する意思があることや、現在の状況などについて連絡をすれば、返済方法について協議できる可能性があるからです。

「何と連絡してよいかわからない」「連絡して事態が悪い方向に進まないか不安」という場合には、専門家へ代行を依頼する方法もあります。

債務整理を検討する

滞納が続いて返済が困難な場合や失業、介護といった理由で収入が一時的に激減しているなど、現時点でどうしても返済ができないケースもあるでしょう。

こうした場合は、債務整理を検討することで借金の減額や利息のカット、返済回数の見直しなどができることがあります。債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」など、ケースによって最適な方法が異なるため、債務整理の実績豊富な司法書士や弁護士などへ相談してみましょう。

借金返済で困ったら専門家へ相談を

督促状を無視し続けていると遅延損害金や利息が加算されるだけでなく、残債を一括請求されたり、財産を差し押さえられたりするリスクが高まります。借金返済で困ったら放置せず、早めに専門家へ相談するようにしましょう。

まとめ

督促状は、借金が返済されない場合に債権者から送られる催促の文書です。督促状を無視すると複数回届き、文面も次第に厳しくなります。督促状に法的な効力はありませんが、放置していると催告書や裁判所からの通知など、法的効力を持った書面が届くようになってしまうため、無視せず早めに対処することが大切です。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号