奨学金は債務整理できる?リスクや払えない場合の対処法を解説!
奨学金の返還が苦しい時に、債務整理することができるかについて考えたことのある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、奨学金が払えないとどうなるのか、債務整理した場合どの程度効果があるのかなどについて解説しています。奨学金が払えない場合の対処法についてもわかるようになっていますので、借金返済や奨学金の負担軽減について知りたい際の参考にしてください。
目次
奨学金は債務整理できるのか
奨学金が払えないとどうなるのか、債務整理は可能なのかについて解説します。
奨学金が払えないとどうなる?
奨学金とは、一般的に日本学生支援機構の奨学金制度を意味します。
経済的な理由で進学が難しい学生向けに、学費などを貸与または給付する制度です。奨学金の中には返還が不要な給付型奨学金もありますが、多くの場合は返還が必要となる貸与型奨学金のことをさします。
貸与型奨学金は返還が必要な借金であるため、月々の返還が滞れば、他の借り入れと同様に督促や法的措置を取られることとなります。
督促は、借金の返済期日を過ぎた翌日以降から電話や書面などで行われ、3ヶ月滞納すれば事故情報として信用情報機関へ履歴が記録され、いわゆるブラックリスト入りとなってしまいます。
4ヶ月目以降は、債権回収会社による督促が始まります。その後は残りの奨学金を一括で支払うよう請求され、最終的には裁判所を通じて督促や差し押さえの連絡が来ることとなるのです。何も対処しなければ、最初の滞納から1年もかからず差し押さえとなる可能性が高いでしょう。
また、親などの人為的補償を利用している場合、保証人にも書類が届きます。
奨学金は債務整理できるのか
結論から言うと、奨学金を債務整理すること自体は可能です。ただし、債務整理には種類があるため、どの債務整理を選択するかによって結果は異なります。
奨学金で検討できる債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つが挙げられます。
それぞれの債務整理でどのような効果があるのか、債務整理の種類によってはあまり意味がないのかなどについて、以下で更に詳しく見ていきましょう。
奨学金の債務整理に効果はある?
奨学金を債務整理した場合、どのような効果が予想されるのかについて解説します。
債務整理の種類によっては意味のないケースも
先に解説した通り、奨学金の返還で検討できる債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。
それぞれの特徴としては
- 任意整理:債権者へ直接交渉し、利息のカットや返済計画の見直しを行う
- 個人再生:裁判所へ申し立て、借金を大幅に減額する
- 自己破産:裁判所へ申し立て、借金をゼロ(免責)にする
となります。
奨学金は金利の低い借金であるため、元金の減額ができない任意整理をしたとしてもカットできる利息は少額にとどまり、債務整理してもあまり意味はない結果となってしまうでしょう。
個人再生の場合、奨学金の残債が500万円ある場合は、100万円まで減額することが可能です。個人再生は返済することが前提となるため、減額された100万円を3~5年かけて返還していくこととなります。そのため、個人再生しても数年間は返還が続くことになるでしょう。
自己破産ではすべての借金をゼロにすることが可能ですが、預貯金や自動車、住宅などの資産を持っている場合には、生活に必要な最低限の物以外は処分しなければなりません。
また、個人再生と自己破産の手続きをすると、減額した借金の請求が保証人へいくことになります。自己破産では職業によって制限を受けたり、仕事ができなくなったりする可能性もあるため注意が必要です。
奨学金を債務整理した方がよいケース
奨学金を債務整理した方がよいケースとして、奨学金以外にも借金がある場合が挙げられるでしょう。
例えば、奨学金以外に消費者金融からの借り入れやカードローンなど複数の借り入れがある場合、奨学金を除いたすべての債権を任意整理することで、月々の返済額を抑えることが可能です。
個人再生や自己破産では、奨学金だけを対象から外すことはできません。現在の返済が苦しい状況で、個人再生したとしても返済が難しい場合には、自己破産を検討することで返済をゼロにすることができるでしょう。
奨学金を債務整理した方がよいかどうかは、現在の収入や資産状況、保証人の状況や他の借り入れなどによっても異なります。
「奨学金の返還分が払えないけど、債務整理してよいかの判断がつかない」という場合にどうすればよいかについても、以下で詳しく解説します。
奨学金が払えない場合の対処法
「奨学金の返還が苦しい」「奨学金が払えない」という場合の主な対処法は以下の通りです。
返還期限猶予を申請する
奨学金には、返還が難しくなった場合に検討できる以下のような救済措置があります。
- 減額返還制度:毎月の返済額を減額できる
- 返還期限猶予制度:返済期限の猶予を受けられる
- 返還免除制度:奨学金の一部または全部が免除される
いずれの措置も申請には一定の要件を満たしている必要があります。
例えば、返還免除制度の場合、本人死亡や事故などで障害を負い、返還が困難な状況である場合に申請が可能です。その他にも、災害、経済困難、失業などの事情が生じた場合なども一定の要件に含まれます。
他の減額制度については、年収325~300万円以下の場合に申請できる可能性があります。債務整理を検討する前に、日本学生支援機構の救済措置が申請できるか確認してみましょう。
個人再生や自己破産を検討する際の注意点
奨学金は借り入れする際に保証人を立てるか、保証会社をつけて申し込むこととなります。家族などに保証人になってもらい奨学金の貸与を受けた場合、個人再生や自己破産で奨学金を債務整理すると、減免した奨学金を保証人へ一括請求されてしまうため注意が必要です。
保証会社へ保証料を支払って奨学金の貸与を受けている場合、奨学金を債務整理した場合の債権者は保証会社となるため、保証人へ迷惑をかけるリスクは回避できるでしょう。
保証人を立てる人的保証で奨学金を借りた場合、保証人に迷惑をかけたくない場合は上記の救済措置や、奨学金以外の借金を任意整理する方法などを検討することとなります。
人的保証を利用している場合は、自己破産・個人再生は避けなければならないので、任意整理の前に必ず確認しましょう。
借金返済が苦しくなったら専門家へ相談を
奨学金を含む借金の返済が苦しい場合、それぞれのケースによって選択できる解決方法は異なります。奨学金以外を任意整理した方がよいのか、日本学生支援機構の救済措置が申請できるのか、自己破産や個人再生を検討するべきか判断するには、専門的な知識や経験も必要です。
借金や奨学金の滞納は、放置すればするほど状況が悪化してしまいます。返済・返還に困ったら、早い段階で専門家へ相談するようにしましょう。
まとめ
奨学金を債務整理すること自体は可能ですが、奨学金を任意整理しても利息しかカットできないためあまり意味がなく、個人再生や自己破産では減額した分の請求が保証人にいってしまう可能性があるので注意が必要です。日本学生支援機構の救済措置や、奨学金以外の借金を任意整理する方法なども検討できるため、奨学金や借金の返済に関する悩みは早めに弁護士や司法書士へ相談しましょう。
また、督促状が届く事態となっても、督促異議を提出し対処すれば和解調整してもらえる可能性があるので、絶対に無視はせずに直ちに対処するようにしましょう。
みどり法務事務所の「スマサポ」では、奨学金や借金返済の解決に豊富な実績を持っています。フリーダイヤルまたはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。