債務整理すると賃貸契約はどうなる?新規契約方法や注意点を解説

2023.10.10 債務整理
債務整理すると賃貸契約はどうなる?新規契約方法や注意点を解説

債務整理で生活を建て直そうとした場合、賃貸契約に影響が出ることはあるのでしょうか。債務整理で賃貸に住めなくなるケースや新規契約できる可能性、賃貸に住み続けるための対処法についても押さえておきたいところです。

この記事では、債務整理すると賃貸契約にどのような影響があるのかについて分かりやすく解説しています。債務整理後も賃貸に住むための対処法や、新規契約できるのかなどについても紹介していますので、債務整理と賃貸住宅住まいの両方を検討する際の参考にしてください。

債務整理すると賃貸契約はどうなるのか

債務整理をすることによって、賃貸契約にどのような影響が出るのかについて解説します。

原則として債務整理後も賃貸に住み続けられる

原則として、債務整理したこと自体が理由で賃貸契約が解消されることはありません。種類を問わず、どの債務整理を選択したとしても、現在賃貸契約をしている住宅には継続して住むことが可能です。

賃貸契約の際、住宅の大家やオーナーは正当な事由がなければ、勝手に借り主に退居を迫ることはできないことが法律で定められています。正当な事由には、家賃の滞納や規約に違反する行為のほか、建物の修繕や建て替えに退居が必要な場合などが挙げられますが、債務整理は正当な事由とはみなされないからです。

債務整理で賃貸に住めなくなるケース

債務整理の事実だけで賃貸に住めなくなることはありませんが、家賃を長期間滞納しているようなケースでは、債務整理の有無に関わらず退居を求められる可能性があります。

賃貸住宅のオーナーは、毎月決まった家賃を受け取ることを賃貸契約時の条件に含めているケースがほとんどです。その家賃が支払われなければ、貸し主の方から賃貸契約を解消できるようになっています。

このように、債務整理した事実だけを理由として賃貸に住めなくなることはないものの、家賃の滞納や規約違反があった場合は住めなくなる可能性が高いため、注意が必要です。

信販系の信用保証会社を介して賃貸契約を行っている場合、債務整理後に契約更新を断られる可能性があります。信販系の信用保証会社による賃貸契約である場合は、一度専門家へ相談してみるとよいでしょう。

債務整理しても賃貸に住み続けるための対処法

債務整理をしても賃貸に住み続けるためにはどうすればよいのか、その対処法について解説します。

家賃を滞納しない

まず前提として、現在契約している賃貸住宅の家賃を滞納しないことが大切です。滞納がなければ、他の借金返済について債務整理をしたとしても住むところがなくなるリスクは回避できます。

1ヶ月家賃を滞納しただけで即退居となることはほとんどないため、長期間滞納を続けないこと、催促や連絡があった場合に無視しないことなども大切です。

自分以外の人に家賃を払ってもらう

債務整理の手続きに入った段階で家賃に滞納があると、他の借金と同じ債務とみなされます。裁判所を通じて個人再生や自己破産を行う場合、すべての債権は平等に扱うことが法律でさだめられています。そのため、滞納した家賃だけを優先して支払うことはできなくなってしまうのです。

もし債務整理までに家賃の滞納がある場合は自分で払うのではなく、生計を別にしている(別居している)家族が代わりに返済することで、家賃を債務の対象から外す方法があります。

家賃の支払い方法を確認する

家賃の支払いをクレジットカードにしている場合、債務整理でカードが解約になると家賃の支払いがストップしてしまうため注意が必要です。クレジットカード以外の支払い方法が検討できるか、オーナーや大家へ事前に相談してみましょう。

債務整理後に賃貸の新規契約はできる?

債務整理後に新しく賃貸契約で住まいを借りることはできるのかについて解説します。

新規契約で審査に通りにくくなる可能性がある

債務整理は賃貸契約を解除する際の正当事由にはなりませんが、債務整理をした後に新規で賃貸契約をする場合には問題となる可能性があります。債務整理した事実は事故情報として信用情報機関へ一定期間記載され、加盟企業の間で情報共有されるからです。

賃貸の新規契約時、信販系の信用保証会社が入っている場合は審査に通りにくくなる可能性があるため注意が必要です。

債務整理後に賃貸を新規契約する際のポイント

債務整理後に賃貸を新規契約する際のポイントとしては

 

  • 信販系の信用保証会社を介していない物件を探す
  • 公営住宅へ応募する
  • 大家と直接契約できる物件を探す
  • 不動産仲介会社へ相談する
  • 連帯保証人を立てて契約する

 

などが挙げられます。

新規契約の審査時に信用情報機関の情報からの影響を受けにくい物件であれば、債務整理後でも新規契約できる可能性は高いでしょう。中にはなかなか借り手がつかず、緩い条件で入居可能な賃貸物件などもあります。新規契約の際に不動産仲介会社へ事情を説明することで、そうした物件を紹介してもらえる場合もあるでしょう。

ただし、騒音や建物のダメージなど、借り手がつかない理由がある場合もあるため注意が必要です。

公営住宅も入居の際に債務整理の事実が影響することはないため、新規契約が可能です。ただし、公営住宅は家賃が安いため入居希望者が多く、すぐに契約できない可能性もあります。

ほとんどの場合抽選制となっていてなかなか当選できないケースや、契約時の収入に制限を設けている物件も多いため、要件にクリアできなければ住めないことを知っておきましょう。

債務整理や賃貸契約で悩んだら専門家へ相談しよう

家賃を長期間滞納していて契約解消を求められたり、債務整理の対象となって契約が継続できなくなったりしても、交渉次第では引き続き賃貸に住める場合があります。

例えば、債務整理の際にはすべての借金を平等に扱わなければなりませんが、完済した後に免除された家賃の残額を返済することを条件として、契約を継続できる場合などもあるのです。

また、任意整理と呼ばれる債務整理では、対象とする債権を選んで手続きすることができます。どの債務整理を検討すればよいのか、賃貸契約を続ける方法などについて迷った場合は、債務整理の取扱い実績が豊富な専門家へ相談するようにしましょう。

みどり法務事務所の「スマサポ」では、過払い金請求や任意整理、自己破産など、さまざまなケースの債務整理に関する取扱い実績を持っています。一人ひとりの事情を汲んで親身にお話を伺い、最適な解決方法を提案して多くのお客様から喜びの声を頂戴しています。

まとめ

原則として、家賃滞納や契約違反をしない限り、債務整理をしただけでは現在住んでいる賃貸を追い出されることはありません。

しかし、賃貸契約は大体2年前後なので、信販系の信用保証会社が付いている場合、契約を更新できなくなる可能性があります。また、家賃をクレジットカードで支払っている場合、使えなくなったカードに引き落としがかかる前に、事前に銀行引き落としなどの支払い方法に変更しておかなければなりません。

そして、債務整理後に新規で賃貸契約をする場合、信販系の信用保証会社を介した物件、賃貸契約に保証会社が必須な物件は審査が通らない可能性があります。しかし、公営住宅に応募したり、連帯保証人をつけるなど、債務整理後でも新規賃貸契約ができる方法はゼロではありません。

困ったとき、悩んだときは、すぐに専門家へ相談しましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号