期限の利益の喪失とはどんな意味?通知への対処法も解説

2023.08.09 債務整理
期限の利益の喪失とはどんな意味?通知への対処法も解説

「期限の利益を喪失した」「期限の利益喪失通知」といった言葉は、日常生活であまり耳にすることがないため、どのような状態を指しているのかわかりにくいものです。そもそも期限の利益とは何なのか、期限の利益喪失通知とはどのような通知で、どんな時に届くのでしょうか。

ここでは、期限の利益についてわかりやすく解説しています。期限の利益と期限の利益喪失通知の概要に加え、期限の利益喪失通知が届くケースや届いた場合の対処法についても紹介していますので、借金返済などでお困りの場合にも参考にできる内容となっています。

期限の利益とは

まずは「期限の利益」とは何なのかについて解説します。

期限までに返済をすればよい権利

期限の利益とは、簡単にいうと「期限までに返済をすればよい」という意味になります。

例えば、10万円を毎月1万円ずつ返済する契約で借り入れした場合、返済日には1万円を返済しなくてはなりません。逆にいえば、返済日が来るまでは返済しなくても構わない、ということです。これが期限の利益です。

では、期限の利益を喪失するとはどのような意味になるのでしょうか。

期限の利益の喪失とは

期限の利益の喪失とは「期限の利益」の権利を失った状態を指します。

例えば、上記で挙げた例である「10万円を毎月1万円ずつ返済する契約の借り入れ」について、返済日に1万円を返済しなかった場合、借り入れした債務者は契約を守らなかったことになります。

お金を貸した側である金融機関などの債権者は「約束の日に返済されなかったから、1万円ではなく貸したお金を一括で請求します。遅延損害金も上乗せします」ということができるのです。

期限の利益は、金銭の貸借契約において、債務者に法的に与えられた権利でもあります。しかし、契約を守らなかった場合は期限の利益による権利を喪失してしまい、債権者に一括請求されても文句が言えない状態になってしまうのです。

期限の利益を喪失するケースは、返済日までに返済をしなかった時以外にもあるのでしょうか。もう少し詳しく見ていきましょう。

期限の利益を喪失するケース

期限の利益を喪失するケースは民法だけでなく、借り入れする際の契約書においても定められているのが一般的です。期限の利益を喪失するケースには、以下のようなものが挙げられます。

期限までに返済をしなかった

借り入れの際に取り決められた返済期日までに返済をしなかった場合、期限の利益を喪失する可能性が高まります。

一度返済を怠った程度で期限の利益喪失となるケースはほとんどありませんが、2回以上返済しなかった場合は喪失する可能性が高いでしょう。

契約に反する行為があった

返済を怠った行為以外でも、期限の利益を喪失するケースです。契約時に職業や年収、年齢などを詐称して契約し、後で詐称が発覚した場合には、期限の利益喪失となる可能性が高いでしょう。

とはいえ「年収を数十万円多く記入した」「勤続年数を半年ほど数え間違えた」といった軽微な詐称であれば、大きな問題になることはほとんどないでしょう。いずれにしても、契約時は虚偽の記載をせず、誠実に申告することが大切です。

債務整理を行った

実は、債務整理を行った場合にも、債権者から期限の利益喪失を主張されることとなります。

債務整理は自身の手で行うことも可能ではありますが、債権者との交渉や督促への対応など、時間と手間がかかる上、交渉に失敗すれば債務整理が困難となることも少なくありません。成功すれば借金を大幅に減免できるメリットがありますが、自力で手続きするハードルは高いといえるでしょう。

期限の利益を喪失した場合の対処法は?

期限の利益喪失を債権者から主張された場合の対処法について解説します。期限の利益喪失を主張されたことは、債権者から届く「期限の利益喪失通知」によってわかることが多いでしょう。期限の利益喪失通知が届いた場合の対処法としては以下のようになります。

債権者と交渉する

期限の利益喪失通知が届いたら放置せず、債権者へすぐに連絡することが大切です。期限の利益喪失通知が届くということは、現時点で既に1~数ヵ月は滞納状態が続いていることを意味していると思われます。

期限の利益喪失通知を受け取ってから一括請求~差し押さえまでは、思っているよりも早いスピードで進んでいく可能性が高いでしょう。すみやかに債権者へ連絡を取り、返済の意思があること、一括での返済を分割にしてほしいことなどの交渉が必要となります。

ただ、自力で連絡、交渉しても必ず分割払いに応じてもらえるとは限りません。

「もし断られたらどうしよう」「これまでの督促を無視していたから連絡しづらい」という場合には、次に紹介する対処法を取ることをおすすめします。

債務整理を専門家へ依頼する

自身で債権者と交渉するのが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家へ債務整理を依頼する方法もあります。専門家へ依頼することで、債権者との交渉や複雑な書類作成などを代行してもらえるだけでなく、頻繁に来ていた督促や電話による催促などもストップさせることができます。

債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つに大きく分けられ、それぞれの大まかな特徴は以下の通りです。

 

自己破産

裁判所を通じて借金をゼロにする手続きです。一部財産を没収されるなどのデメリットがありますが、借金返済を免除にすることができます。

 

個人再生

裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続きです。財産を手元に残したままで、借金を5分の1から10分の1(負債額による)にまで減額し、3~5年かけて返済することができます。5,000万円を超える借金には使えない、一定の収入がないと利用できないといった要件があります。

 

任意整理

裁判所を通さず、債権者へ直接交渉して利息を減らし、返済期間を見直してもらう手続きです。減免できる額は小さいですが、債権者を選んで交渉することが可能なため、自動車ローンなどを外して任意整理することが可能です。

みどり法務事務所では、債務整理や過払い金請求について豊富な取扱い実績を持っています。滞納後無視をしてしまっていたケースや、期限の利益喪失通知が届いてからの相談にも丁寧に対応しています。無料にて相談可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

期限の利益とは、返済期限までは返済をしなくてよいという債務者の権利のことです。返済期限を守らなかったり、返済を滞納したりすると、債権者から期限の利益喪失を主張される可能性が高くなります。期限の利益を喪失すると、借金の一括請求や遅延損害金の加算などが起こるため、早めに債権者へ連絡をすることが大切です。

専門家へ債務整理を依頼することで、債権者との連絡や交渉から解放されるため、期限の利益喪失通知や督促状が届いたら、できるだけ早めに相談してみるとよいでしょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号