生活保護受給中でも自己破産できる?手続きの流れや注意点を解説!
「生活保護受給中は自己破産できないのでは?」「自己破産して生活保護費に影響が出ると困る」など、生活保護の受給中に自己破産することを迷っている方もいることでしょう。そもそも生活保護を受けながらの自己破産は可能なのか、手順や流れなども知っておきたいところです。
この記事では、自己破産しても生活保護を受けることはできるのか、逆に生活保護中に自己破産は可能なのかについて分かりやすく解説しています。自己破産の手続きをする際の基本の流れについてもわかるようになっていますので、借金返済に関する疑問の参考にもできる内容となっています。
目次
自己破産しても生活保護を受けることはできる?
自己破産しても生活保護を受けることはできるのかについて解説します。
自己破産しても生活保護は受けられる
結論から言うと、自己破産しても生活保護を受けることは可能です。生活保護を受けるためには
- 働くことができない
- 財産を持っていない
- 家族からの扶養が受けられない
- 年金などの公的扶助が受けられない
といった条件を満たす必要があります。この条件の中に自己破産は含まれていないため、自己破産を理由に生活保護が受けられない、ということはないでしょう。
自己破産後に生活保護が受けられないケース
自己破産をした事実が直接生活保護に影響することはありませんが、自己破産後に身の回りの環境が変わった場合には生活保護が受けられなくなる可能性はあります。例えば
- 仕事が見つかるなどで十分な収入が得られるようになった
- 家族の援助が受けられるようになった
といった場合には、生活保護の条件に該当しなくなれば保護費の受給が受けられなくなるでしょう。
生活保護受給中に自己破産はできる?
自己破産しても生活保護を受けることはできますが、生活保護を受給中に自己破産することはできるのでしょうか。
生活保護受給中は自己破産しかできない
結論として、生活保護受給中に自己破産することは可能です。むしろ、生活保護を受けている場合に可能な債務整理は自己破産一択となります。
自己破産以外の債務整理である「個人再生」や「任意整理」の手続きをするためには、借金を返済できる一定以上の経済力や安定した収入を得られる状況であることなどが条件となります。生活保護費は生活をする為にのみ使われるもので、借金の返済に充てることはできないため、生活保護受給中にできる債務整理は自己破産のみとなるのです。
生活保護受給中の自己破産の手続きに必要なもの
生活保護受給中に自己破産の手続きをする際には、以下の書類が必要となります。
- 自己破産の申立書
- 戸籍謄本、住民票
- 通帳のコピー
- 収入を証明する書類
- 課税証明書または源泉徴収票
- 財産の目録
- 陳述書
- 債権者のリスト
- 生活保護費受給証明書(自分及び世帯全員の家族の氏名、保護開始日)
このほかにも、賃貸マンションに住んでいる場合は賃貸契約書、収入がない場合は非課税証明書など、状況に応じて証明できる書類の準備が必要です。
生活保護受給中に自己破産する場合の注意点
生活保護中に自己破産する場合、ブラックリスト入りする点に注意が必要です。生活保護受給の有無に関わらず、自己破産の手続きをした事実は事故情報として記録されるため、いわゆるブラックリスト入りした状態となってしまいます。ブラックリスト入りすると新たな借り入れができなくなるほか、カードの新規発行や携帯電話本体の分割購入なども一定期間できなくなります。
自己破産の手続きをすると、生活保護に関係なくブラックリスト入りするため、生活保護受給中に自己破産した場合の特別なデメリットはないともいえます。逆に、生活保護中に自己破産した場合にはいくつかのメリットを得ることも可能です。
生活保護を受けながら自己破産するメリット
生活保護を受けながら自己破産した場合のメリットとしては
- 破産手続き中の予納金納付が猶予される
- 破産手続き完了後も生活保護を受けている場合は予納金が免除される
- 弁護士費用の免除申請も可能
などが挙げられます。
生活保護中は裁判にかかる費用や弁護士費用を支払うことが難しいため、本来破産手続き開始時に必要となる予納金の納付を猶予してもらえます。破産手続きが完了した時点でも生活保護中である場合、猶予された予納金の納付は免除されます。
裁判に必要な費用とは別に、自己破産を依頼した場合に専門家へ払う報酬も必要となりますが、これも法テラスが立て替えてくれる制度、民事法律扶助制度を利用することで、手続き中の支払いを猶予してもらうことが可能です。民事法律扶助制度を利用した場合、報酬の支払いは分割で返済できますが、生活保護中である場合はこの支払も免除申請することが可能です。
法テラスを利用する場合、直接法テラスの窓口へ問い合わせる方法と、ホームページに「法テラス利用可能」の記載などがある専門家へ相談してから法テラスへ猶予申請する方法があります。後者は「持ち込み方式」とも呼ばれており、法テラスへ直接連絡するよりスムーズに手続きできる可能性があります。
自己破産の手続きをする場合の流れ
最後に、一般的な自己破産手続きの流れについても見ていきましょう。
自己破産手続きの流れ
自己破産の手続きをする際、まずは債務整理に強い専門家へ相談して進めることをおすすめします。自己破産には上記で挙げた必要書類のほか、現在生活保護受給中の場合は、そのことを証明する書類も必要となります。
専門家へ自己破産を依頼すると、債権者には「受任通知」が送られ、借金の催促や督促などがすぐにストップします。その後必要書類を揃えて専門家が裁判所へ申し立てを行い、裁判所から破産手続の開始決定を受けたら破産手続きが開始されます。
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の2種類に大きく分けられますが、生活保護受給中の自己破産の場合、ギャンブルによる借金などでなければ、同時廃止となる可能性が高いでしょう。同時廃止の場合は管財事件より手続きが早く終わるケースが多く、免責が確定するまでにかかる期間はおよそ2~3ヵ月となります。
生活保護と迷ったら自己破産手続きを優先する
「自己破産と生活保護のどっちを先に手続きした方がよいかわからない」という場合は、自己破産手続きを優先するとよいでしょう。
自己破産の手続きを専門家へ依頼した場合、直後に頻繁にあった催促の連絡などが止まり、一括請求を迫られることなどもなくなるため、得られるメリットが大きくなります。どちらの申請を先にするかで迷ったら、自己破産を優先するようにしましょう。場合によっては自治体のケースワーカーから自己破産を先にするように指導を受ける可能性があります。
借金返済の悩みは1人で抱えず専門家へ相談を
借金の返済が苦しく、生活するのもやっとの状況であることを誰かに相談するのは勇気がいるかもしれませんが、専門家には正直に話しましょう。債務整理に強い専門家なら、借金に関する様々な事例を扱っているため、丁寧に話を聞いた上で最適なアドバイスをすることが可能です。1人で悩まず、まずは一度相談してみましょう。
まとめ
自己破産した後に生活保護を受けることは可能で、生活保護受給中に自己破産することも可能です。生活保護受給中に選択できる債務整理は自己破産のみであり、生活保護を受けていることで裁判費用や弁護士費用の納付猶予や免除を受けられるメリットもあります。自己破産を専門家へ依頼すると取り立てや催促の連絡が止まるため、生活保護と自己破産で迷ったら自己破産を優先するのがおすすめです。債務整理に強い専門家へ早めに相談して、生活を建て直しましょう。