自己破産の反省文にはどんなことを書けばいい?書き方のポイントと注意点を解説

2024.02.28 自己破産
自己破産の反省文にはどんなことを書けばいい?書き方のポイントと注意点を解説

自己破産の手続きでは、「反省文」という書類の提出を求められる場合があります。本記事では、この反省文とはどのような書類か、「陳述書」とは違うのか、反省文に書くなう用などを説明していきます。

自己破産における「反省文」とは?

自己破産における「反省文」とは、裁判所・管財人が必要と判断した際に提出する書類です。

浪費やギャンブルのような、本来であれば自己破産が認められない免責不許可事由があっても、裁判所の裁量によっては面積が認められる場合があり、その判断のために反省文が要求されます。

なお、「反省文」は便宜上の名称であって、正式な法律用語ではありません。

反省文が必要になる場面

前述の通り、反省文が必要になるのは免責不許可事由がある場合です。

その免責不許可事由のいずれかに当てはまるケースでも、債務者が反省し、同じような借金を繰り返さない意思があるかを判断するために反省文が必要となります。

免責不許可事由

  1. 財産隠し等の債権者を害する行為
  2. クレジットカード決済による商品の現金化
  3. 一部の債権者だけに優先して返済
  4. ギャンブル、投機による借金
  5. 破産申立ての日より1年前から信用情報を偽って借金をした
  6. 自己破産の調査で裁判所に虚偽の報告をした
  7. 破産の手続きを妨害した
  8. 過去7年以内に自己破産をしている

 

陳述書との違い

自己破産の手続きでは、「陳述書」という書類も必要となります。

陳述書とは、自己破産に至った経緯や家族・生活・財産の状況等を記載するもので、「反省文」とは明確に区別されます。

提出の要否 形式
陳述書 提出は必須 決まっていない
(パソコンでも可)
反省文 必要に応じて提出する 直筆が必須

 

自己破産で反省文を書くときのポイント

反省文の提出を求められたということは、免責許可が下りるかどうかが微妙な状況といえます。

そのため反省文には、借金を反省し、二度と同じ過ちを繰り返さない意思が伝わるように、いくつかのポイントを押さえた文章の記載が必要となります。

借金をした理由を説明する

まずは借金をした理由を嘘偽りなく記載しましょう。

よく思われたい、または借金の理由が恥ずかしいからと言って本当のことを記載しないと、虚偽の内容を記載したとして免責不許可になる恐れがあります。

例文

私〇〇は、多額の借金を抱えたにもかかわらず返済のめどが立たなくなり、多くの方にご迷惑をかけてしまいました。心より深く反省し、お詫び申し上げます。

借金をしたきっかけは、5年前に同僚から勧められたFX投資です。

始めた当初は余剰資金の範囲で行っていましたが、思いのほか儲かったことから、自分には相場を読む能力があると勘違いし、生活費も証拠金として信用取引にも手を出すようになりました。

しかし、その後は度重なるロスカットにより資金が減っていき、給料だけではFX投資の軍資金と生活費の不足分が足りなくなったため、消費者金融やカードローンで借入をするようになりました。

自己破産に至った経緯を説明する

借金をし始めてから自己破産に至った経緯・心情を説明しましょう。安易に自己破産を選択したのではないことを伝える必要があります。

例文

資金は減っていきましたが、FX投資を始めた当初は儲けられていたことから、いつか損害は取り返せるだろうと安易に思い込み、そのままFXを継続しました。

ですが、その後も損失が続き、そのたびに借入金で穴埋めしてその返済のためにさらに借入をするという行為を繰り返した結果、自分の返済能力では完済することができなくなってしまったため、自己破産を選択することになりました。

債権者や周囲への影響を説明する

自己破産をすることにより、債権者や周囲の人にどのような迷惑をかけてしまったかを書きます。

お金を貸してもらったにもかかわらずそれを返せなくなったことについて申し訳なく思い、反省していることが伝わることが大事です。

例文

今回の結果は、私の自制心のなさが招いたものです。お金を貸してくれた債権者の方々をはじめ、借金のことで心配をかけてしまった家族、友人、職場の方々には多大な迷惑をかけてしまいました。

今後は、二度と同じ過ちを繰り返さないよう努力していきます。

具体的な生活改善の内容

自己破産後、再び借金を繰り返さないために、今後はどの様に生活を改善していくか具体的な計画を記載し、謝罪文で締めてください。

例文

今後は、自己の収入のみで生活ができるよう家計簿をつけて収支を把握し、少しずつでも貯金もしていきたいと思います。また、投資については信用取引のようなリスクのある商品には一切手を出さず、収入の範囲で毎月積み立てていく長期投資に絞ります。

最後に、改めて債権者及び迷惑をかけた方々に謝罪いたします。本当に申し訳ありませんでした。

自己破産で反省文を書くときの注意点

文章の構成をしっかりと組み立てる

反省文の文章は、構成を順序だてて組み立ててください。反省の意思があっても、構成が崩れていると読み手に伝わりません。

全体の構成としては、前述の例文のような構成が分かりやすいでしょう。

反省文の構成例

借金をした理由

    ↓

自己破産に至った経緯

    ↓

債権者等へ気持ち

    ↓

今後の生活改善

反省していることが伝わるように文章を考える

反省の気持ちを伝えることを意識した文書を書いてください。ここで重要なのが、自分の言葉で反省の念をつづることです。

インターネット上には多くの反省文の例が載っていますが、パートごとにそれらを書き写すだけでは文体や表現がバラバラになり、読む側としては自分の言葉で書いていないことが分かってしまいます。

嘘や曖昧なことを書かない

嘘やあいまいな表現は絶対に書かないでください。事実と異なる記載があると裁判所の心証は悪くなり、場合によっては虚偽の記載として免責不許可事由になってしまいます。

司法書士や弁護士などの専門家に確認してもらう

裁判所に提出する前に、自己破産を扱っている司法書士弁護士に反省文の内容を確認してもらいましょう。

自己破産を扱っている司法書士・弁護士であれば多くの案件を担当し、反省文に書くべき・書くべきでない内容を熟知しているので、事前の確認により反省文の完成度を上げられます。

まとめ

自己破産の手続きで反省文の提出を求められた場合、免責許可が下りるかが微妙な状況です。そのため、自身の反省の気持ち・経緯が伝わるよう、反省文の内容はポイントを押さえて書く必要があります。

反省文の作成が難しいと感じたら、自己破産を扱う司法書士・弁護士に相談し、完成度の高い反省文を目指しましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号