生活保護費は借金返済に充ててもいい?返済が厳しいときにはどうすればいい?

2023.08.31 債務整理
生活保護費は借金返済に充ててもいい?返済が厳しいときにはどうすればいい?

病気などが原因で働くことが難しいため生活保護を受給したいが、借金が残っているので生活保護の受給が認められるか不安だ。

本記事では、このような借金が残っている場合の生活保護について解説していきます。

生活保護費から借金を返済できる?

まず、借金が残っていても、生活保護を受給することは可能です。

生活保護の受給要件には、

 

  • ①資産の活用(預貯金や生活に利用していない資産を売却)
  • ②能力の活用(働くことが可能ならその能力に応じて働く)
  • ③あらゆるものの活用(可能であれば年金や手当などほかの制度をまずは活用する)

 

という要件があり、これら三つを活用しても最低限度の生活を維持することができないのであれば、生活保護の対象になります。生活保護を受給の可否に借金の有無は関係ありません。

生活保護費から借金の返済はできない!

借金が残っていても生活保護を受給できるといっても、生活保護費から借金を返済することは認められません。後述しますが、生活保護費から借金を返済すると大きなデメリットが生じます。

そもそも生活保護とは?

生活保護は、あくまで最低限度の生活を維持するための制度です。

このような制度趣旨から、生活保護費から借金を返済することはもちろん、生活保護者が新たに借金することも認められません。

生活保護を受けていたら借金は減る?

生活保護を受けても借金は減らない

生活保護費から借金を返済することは認められておらず、また、生活保護には受給者の借金を減らすような制度も存在しません。そのため、生活保護を受けても借金はそのまま残ってしまします。

むしろ、借金は増えていくこともあります。生活保護費から借金を返済できない以上、何も手を打たなければ借金を放置することになりますが、借金には利息があるのが通常で、元本が存在する限り利息は膨らみ続けます。

このような事態にならないため、後述しますが、早い段階でケースワーカーや弁護士・司法書士に相談をしてください。

借金を返済せず帳消しにするには「自己破産」が必要

多額の借金が残っている場合は、自己破産が必要です。

借金を返済しないまま放置すると、利息が膨らんで負担が重くなっていきます。場合によっては債権者によって裁判上の手続きを取られ、差し押さえや一括請求を受ける恐れも出てきます。

自己破産が認められれば借金の返済をする必要がなくなるため、生活保護を受給しながら、自身で生活を立て直すことに注力することができます。

ただし、自己破産は資格制限により就けない業種があること、高額な財産を処分する必要がある等、デメリットがあることは理解しておく必要があります。

生活保護の受給中に新たな借金はできる?

生活保護の受給中に新たに借金をすることは認められません。

生活保護受給中はそれ以外に収入がないことから、金融機関・カード会社の審査に通らないため、借入自体ができません。

仮に借金ができたとしても、それは新たな収入とみなされて生活保護費の減額対象となります。

もし、新たに借金をしたことをケースワーカーに隠していると、生活保護を打ち切られるおそれがあります。

どうしてもお金が必要なときの選択肢

ケースワーカーに相談する

生活保護を受給しても生活が苦しくどうにもならない場合、まずはケースワーカーに相談をしましょう。

ケースワーカーは、生活困窮者を支援する専門職で、生活保護においては受給者の相談・支援、家庭訪問、関係機関との連携などを行います。

前述の通り、生活保護受給中の借金は自立を遠ざけるリスクのある行為です。生活保護費だけでは苦しい場合であっても、自己判断だけで行動するのは危険です。

債務整理をする

借金が残っているのであれば、法律の専門家である弁護士司法書士に相談して債務整理をすることも有効な手段です。

自己破産ができないようなケースでも、債権者と交渉して利息を無くし、返済期間を延長するなど、事案に応じた柔軟な対応が可能です。

また、借金問題であれば、無料で相談を受けてくれる弁護士・司法書士もいるため、深刻な状況になる前に、まずは専門家に相談をするのをお勧めします。

まとめ

借金が残っていても生活保護を受給することは可能です。

しかし、生活保護には借金を減らすような制度はなく、借金がある場合、生活保護を受けるだけでは完全な自立は難しいと言えます。

借金を放置すると利息により返済総額が増えていくため、早い段階でケースワーカーや弁護士・司法書士に相談し、対策を打ちましょう。

みどり法務事務所では数多くの債務整理事件を取り扱っているため、事案に応じた適切なアドバイス・対応が可能です。まずは気軽にご相談ください。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号