自己破産すると官報に載る?掲載のリスクやタイミングなどを解説
「自己破産の手続きをすると官報に載る」といわれますが、官報に載ることでどのようなリスクがあるのでしょうか。官報に載ると自己破産したことが周囲にバレてしまうのか、いつの時点で官報に載るのかなども気になるところです。
この記事では、自己破産すると官報に載るのか、載った場合のリスクや掲載までの流れ、タイミングなどについて解説しています。官報以外の注意点についても紹介していますので、自己破産のリスクについて知りたい際の参考にしてください。
目次
自己破産すると官報に載るのか
まずは「自己破産すると官報に載るのか」「そもそも自己破産とは、官報とはどのようなものなのか」「官報へ掲載されるとどのようなリスクがあるのか」などについて解説します。
自己破産とは
自己破産とは債務整理の1つで、裁判所を通じて借金の返済ができないことを認めてもらい、借金返済を免除してもらう手続きのことです。
自己破産が認められれば非免責債権を除いて借金を返済する義務を免れることができますが、以下のような点がデメリットとされています。
- 一定以上の財産が失われる
- ブラックリスト入りする
- 保証人に借金返済が請求される
- 官報に自己破産したことが掲載される
上記からもわかる通り「自己破産すると官報に載る」は事実ですが、官報に載るとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
官報とは
官報とは、国が発行する広報誌のようなもので、法律や条約などに関する情報を広く公布する目的で発行されるものです。官報に掲載される内容としては
- 国会の議案
- 交付された法令
- 省庁における異動
- 最低賃金
など、公文と呼ばれる政府が公布する文書と
- 国家資格の登録者
- 競売、入札に関する情報
- 破産、失踪、死亡
- 会社の決算
など、公告と呼ばれる告知情報が挙げられます。大きく分けて文書、告知、会社の決算報告の三つです。
自己破産した場合、その事実と住所、氏名などの個人情報が官報の公告として掲載されることとなるのです。
官報に載ることのリスク
官報は休日を除いて毎日発行されており、インターネット版で公開されているPDFは、直近30日分は誰でも無料で閲覧可能です。それ以外は官報情報検索サービスに加入し有料で閲覧することができます。そのため、自己破産した時期に官報を目にした人にバレてしまう可能性がある点はリスクがあります。
しかし、よほど毎日官報の公告で破産者のチェックを日課にしているような人でない限り、官報の情報に触れる機会は多くないものです。
家族や知人に官報をわざわざ見る人の心当たりがない限り、官報への掲載は自己破産のデメリットの中でも比較的怖がらなくてよいリスクといえるでしょう。また、原則名前検索できるものはありませんが、一部の官報情報検索サービスでは個人情報部分の検索が許されています。
自己破産から官報に載るまでの流れとタイミング
自己破産の手続きを始めてから官報に載るまでの流れと掲載されるタイミングについて解説します。
自己破産の手続きの流れ
自己破産の手続きは、概ね以下のような流れで進みます。
- 専門家へ相談する
- 自己破産の手続きを専門家へ依頼する(受任通知の送付・債権者からの取み立てがストップ)
- 裁判所へ自己破産手続きの申し立て
- 書類審査
- 破産手続き開始決定
- 免責審尋(裁判官との面談)
- 免責許可
自己破産は自力で手続きすることも可能ですが、専門家へ依頼することで借金の催促がすぐに止まること、裁判所へ提出する書類の作成には法律の知識が必要となることなどから、専門家へ手続きを依頼して進めるケースが一般的です。
また、自己破産の手続きで管理するべき財産がない「同時廃止」となるのが一般的です。同時廃止となった場合の流れは上記のようになります。財産が多い場合など、管財人が必要となる「管財事件」となった場合は、破産管財人の選任や財産の鑑定、債権者集会などが必要となるため、もう少し複雑な流れを取ることとなります。
官報に載るタイミング
自己破産の事実が官報に載るタイミングとしては、上記で解説した流れのうち
- 破産手続き開始決定
- 免責許可
事件の場合は破産手続き終了時にも載るため3回となります。いずれも裁判所で決定後1~2週間程度で掲載されるのが一般的です。
官報への掲載期間は媒体や閲覧状況によって異なり、それぞれ以下のようになります。
紙面の官報掲載:掲載日の1日のみ
インターネット閲覧(無料版):30日間
インターネット閲覧(有料版):半永久的に閲覧可能
官報への掲載は拒否することができないため、自己破産の手続きが始まったら官報への掲載は避けられないと考えましょう。
官報を見る方法
官報を見る方法としては「紙面で見る」「インターネットで見る」「図書館で見る」の3つがあります。
紙面の官報は全国の官報販売所で購入が可能で、1部単位で購入できるほか、定期購読の契約も可能です。
インターネットの無料版は、直近から30日間の情報を誰でも見ることが可能です。有料会員制の検索サービスでは、昭和22年5月3日から現在までの官報掲載情報について、日付やキーワードなどで検索、閲覧することができます。
国立国会図書館や大きい図書館なら、直近の官報やバックナンバー(一部の期間)などを閲覧することが可能です。
官報に載ることを気にしなくてよい理由は?
自己破産が官報へ掲載されることは、そこまでリスクとして気にしなくてもよいといえます。その理由について解説します。
すべての自己破産の経緯が載るわけではない
自己破産した事実が官報に掲載されるといっても、どこでいくら借りて、どのような理由で自己破産したかといった詳細な経緯まで公告されるわけではありません。同時廃止の場合、官報に載る文章は
- 日付
- 住所、氏名
- 決定日
- 破産手続きの開始(または免責の許可)となった事実
- 理由:財産を持って返済する費用が不足している
- 裁判所名
など、いたってシンプルな内容となります。官報への掲載は、自己破産を知らずにお金を貸したままにしている債権者が出ないよう、広く公告することが目的です。そのため、官報へ掲載されている個人情報を悪用することは禁じられており、名前で検索することもできなくなっています。官報によって自己破産がバレる可能性は、かなりレアケースであるといえるでしょう。
官報掲載より重要なポイント
官報掲載によるデメリットよりも、自己破産の手続きにおけるリスクやデメリットについて注意するべきです。たとえば、すべての自己破産手続きが裁判所で認められるわけではありません。自力で手続きを進めたり、自己破産の取り扱いに慣れていない専門家へ依頼したりした場合、手続きしても借金がゼロにならない「免責不許可」となるリスクがあるからです。
自己破産で免責許可を受けるのが難しい場合、他の債務整理が向いている可能性もあります。
債務整理でブラックリスト入りすると、一定期間借金やカード発行ができないなどの制限を受けるため、そちらの方が官報に載るよりもデメリットに感じるケースが多いでしょう。
自己破産で迷ったら専門家へ相談を
自己破産で失敗やリスクを最小限に抑えて借金問題を解決したいなら、債務整理に強い専門家へ依頼するのが安心です。
みどり法務事務所では、相談される方の事情を個別に丁寧に伺い、お役に立てる最適な方法のご提案が可能です。借金返済でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
自己破産の手続きでは、破産手続きの開始決定時と免責の決定時の2回官報に掲載されます。官報はインターネットや図書館などから、一定期間誰でも閲覧することが可能で、掲載を拒否することはできません。しかし、名前による検索などはできず、個人情報の悪用も禁止されているため、官報に掲載されることで自己破産がバレるケースはほとんどないでしょう。官報よりも、手続きの失敗や免責にならないリスクを避けるため、自己破産や債務整理は専門家へ相談して進めるようにしましょう。