任意整理で返済額はどれくらい減る?減額に応じてもらえないケースとは?

2023.11.21 任意整理
任意整理で返済額はどれくらい減る?減額に応じてもらえないケースとは?

借金問題を解決する債務整理手続きの一つに「任意整理」があります。

任意整理は、債権者と交渉して借金の返済内容を変更する手続きです。本記事では、この任意整理によりどの程度借金が減るのかを説明します。

任意整理で減額できる支払い対象

任意整理では、借金の元金そのものが減額されることはなく、基本的に次の3つが減額の対象となります。

将来利息

将来利息とは、借金の元金に対して発生する完済するまでに支払い続ける利息です。

将来利息が無くなれば、支払った金額は全て元金に充てられるため完済が早まることから、任意整理ではこの将来利息をカットするために交渉を行います。

経過利息

経過利息とは、最後に返済した日から和解成立日までに発生する未払いの利息です。

経過利息が多いと全額のカットが難しいケースもあるため、払えなくなったら放置はせず、できるだけ早く債務整理を行いましょう。

遅延損害金

遅延損害金は、借金の返済に遅れた場合に発生する損害金で、遅延利息延滞利息とも言います。

任意整理をしたら返済額はどのくらい減る?

任意整理をしたら元金以外の利息等がカットできますが、それによりどれくらいの効果があるのかを見ていましょう。

月々の返済額は半分程度まで減額できることが多い

①元金100万円 金利15.0% を60回(5年)で返済する場合

毎月の返済額 23,789

総支払額   1427,378円 (うち利息部分が427,378)

 

このとおり、借りた金額に加え、元金の約半分近くの金額を利息として支払うことになります。

 

②元金100万円で任意整理により将来利息、延滞利息、および遅延損害金をカットし、元金のみを60回で返済する場合

毎月の返済額 約16666円 (端数は初回または最後の返済で調整する)

 

任意整理によりうまく利息等をカットできると、総支払額を大幅に下げられるうえ、毎月の返済額も下がるため債務者の負担はかなり軽くなります。

場合によっては月々の返済額が大きくなることも

任意整理により利息等をカットできても、毎月の返済額が増えるケースもあります。任意整理後の支払い回数は基本的に36回~60(3年~5)なのですが、債権者によっては36回払でないと和解しないということもあります。

上記の②のケースで36回払にした場合、毎月の返済額は約27,777円となり、毎月の返済額は任意整理前より増えてしまいます。

ただし、この場合でも、返済額の合計は元金部分のみとなるため、総合的に見れば債務者にとって大きな利益となります。

任意整理で利息が減らない可能性があるケース

任意整理は将来利息をカットすることにより総合的な返済額を減らせる債務整理の手段ですが、利息が減らないケースがあります。

取引期間が短い・一度も返済していない

借金してから任意整理を始めるまでの期間が短い、または1度も返済していない場合、債権者に利息カットを認めてもらえないことがあります。

貸金業者は利息を含んだ返済により利益をあげるため、返済期間が短い、または1度も返済をしていない状態で任意整理を始めると、債権者の心証が悪くなり交渉に応じてくれません。

このような場合は、しばらくの間返済を続けてから再度任意整理を開始することになります。

返済能力がない

任意整理により将来利息等をカットしても、それを多くとも60(5)で完済できる返済の能力がなければ、債権者は和解に応じてくれません。

経済面での改善が難しければ、個人再生または自己破産を検討することになります。

金利が低い・借金総額が少ない

金利が低い、または借金総額が少ない場合は、債権者に利息カットを認めてもらえないことがあります。

金利が低い場合は、もともと支払っている利息が少ないため、将来利息をカットしても返済額にあまり変化がなく、任意整理の意味がありません。

また、謝金総額が少ない場合は、任意整理をしなくても返済できるはず、と債権者に判断されて和解に応じてもらえないケースがあります。

このようなケースでは、病気や家庭の事情等、金額が低くても現状では返済が難しい事情を債権者に説明する必要があります。

まとめ

任意整理では借金の元金そのものを減額はできませんが、将来利息等をカットでき、これにより毎月の返済額、返済総額を抑えることが可能です。

ただし、必ず利息等をカットできるわけではなく、債務者の事情に応じて債権者との交渉が必要となってきます。

債務の返済が苦しい、利息分しか返済できず完済が見えない、といった方は任意整理により状況を改善できる可能性があるため、司法書士にご相談ください。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号