過払い金請求にはどんなリスクがある?ケースごとに解説

2023.10.31 過払い金
過払い金請求にはどんなリスクがある?ケースごとに解説

過払い金請求をした場合に何かリスクがあるのか、どんなリスクが予想されるのかがわからなくて、過払い金請求を実行できない方も多いのではないでしょうか。リスクを回避する方法を知ることで、過払い金請求について検討しやすくなるでしょう。

この記事では、過払い金請求をした場合のリスクやしなかった場合のリスク、リスク回避のための対処法などについてわかりやすく解説しています。

「借金返済中の場合」「完済後の場合」など、ケースに応じたリスクがわかるようになっていますので、過去や現在の借金に関する疑問を解決する際の参考としてお役立てください。

過払い金請求をした場合のリスク

過払い金請求をした場合に、どのようなリスクがあるのでしょうか。「現在借金返済中である」ケースと「既に完済している」ケース、「専門家に頼らず自力で請求」したケースのリスクについてそれぞれ解説していきます。

借金返済中に過払い金請求した場合のリスク

借金返済中に過払い金請求をした場合、いわゆるブラックリストに載ってしまうリスクがあります。まだ返済するべき借金がある金融機関に対する過払い金請求は、債務整理の1つである「任意整理」とみなされる場合があるからです。

ブラックリスト入りした場合、一定期間は新たなローンが組めない、カードが作れない、保証人になれないといった制約が出てしまいます。

ただし、もしも既に任意整理の手続きに入っていて過払い金が判明した場合、過払い金を請求してもしなくても任意整理の事実が事故情報として一部の信用情報機関へ記録されるため、過払い金があるなら請求した方がよいでしょう。

なお、過払い金によって借金が完済される場合には、ブラックリストの記録から削除されるのが早まるため、すでにブラックリスト入りしている場合はメリットとなります。

借金完済後に過払い金請求した場合のリスク

借金を完済後に過払い金請求した場合、ブラックリストに載ることはありません。住宅ローンやカード発行などの予定がある人も、完済後であれば過払い金請求によるブラックリスト入りのリスクを回避することが可能です。

ただし、完済を待っている間に債権者が倒産して請求できなくなるリスクや、債権者である金融機関との関係が悪くなり、カードやローンの契約ができなくなるリスクがあるでしょう。

自身で手続きした場合のリスク

過払い金請求は、自身で手続きすることも可能です。専門家へ過払い金請求の手続きを依頼した場合は専門家へ報酬を支払う必要がありますが、自身で手続きすれば報酬は発生しないため、コストを抑えることが可能です。

ただし、債権者との交渉が失敗するリスクや過払い金の計算間違い、法的な書面を作成する手間と時間などがかかり、請求が長期化するリスクがあるでしょう。

専門家へ依頼した場合のリスク

過払い金請求を専門家へ依頼すると報酬が発生しますが、過払い金の請求後、戻ってきた過払い金から支払うことができるケースも多いため、出費のリスクは少なくなります。

ただし、過払い金請求や債務整理の代行やサポート実績が豊富な専門家へ依頼しないと手続きが難航するリスクがあります。また、悪徳な業者の場合は法外な報酬を要求されるケースもあるため注意が必要です。

実績豊富で信頼できる専門家へ依頼できれば、手間なくスムーズに交渉を進めることができるでしょう。記事の最後に専門家選びのポイントも紹介していますので、併せて確認してみてください。

その他のリスク

生活保護受給中に過払い金請求の手続きをしてお金が戻ってきた場合、金額や財産の状況によっては生活保護が受けられなくなる場合があります。過払い金に所得税が発生することはありませんが、収入としてはカウントされるため注意が必要です。

過払い金を受け取ったことを隠していると不正受給とみなされてしまい、生活保護費の返還を求められる場合もあります。生活保護費について不安な場合は、過払い金請求を専門家へ依頼する際に相談してみるとよいでしょう。

過払い金請求をしなかった場合のリスク

過払い金請求をしなかった場合のリスクについても解説します。

時効が成立するリスク

過払い金請求ができる期間は限られており、2010617日以前の借金に限られます。

また、借金には5年または10年の消滅時効がさだめられており、時効を迎えている場合は請求ができなくなってしまいます。

時効のカウントは、最後に返済した日の翌日から起算するため、完済して10年が経過している場合には、払い過ぎた利息を取り戻すことができなくなってしまうでしょう。

借金返済に苦しむリスク

現在借金を滞納している場合、過払い金請求をすることで借金が大幅に減額されたり、手元にお金が戻ってきたりする可能性が高まります。過払い金請求をしないで放置していても借金が減ることはないため、苦しい返済に追われ続けることとなってしまいます。

過払い金請求以外にも「自己破産」や「任意整理」「個人再生」などの債務整理が検討出来る場合もあるため、返済が苦しい場合は早めに対処することが大切です。

なお、任意整理手続きについては、これと並行して過払金を裁判上または裁判外を問わず請求できますので早期に検討するといいでしょう。

過払い金請求のリスクを回避する方法

過払い金請求をした場合のリスクを回避するためには、以下の方法を参考にしましょう。

早めに専門家へ相談する

過払い金請求は自分で手続きできる反面、自力によってリスクが高まることが多いものです。請求時のリスクを回避してお金を取り戻すためには、早い段階で専門家へ相談することが大切です。

 

「完済して何年も経つが、過払い金があるのか知りたい」

「長年借金を返済していて、過払い金があれば取り戻したい」

 

といった場合、専門家へ相談することで「過払い金があるか」「いくらあるか」などの詳しい情報を得ることもできます。「家族にバレたくない」「費用が心配」といった悩みも、相談時に伝えることで解決できる場合が多いでしょう。

以下に紹介する専門家選びのポイントも参考にして、一度相談してみるとよいでしょう。

専門家を選ぶ際のポイント

過払い金請求や借金に関する相談をする際は、債務整理全般の実績が豊富な専門家を選ぶようにしましょう。債務整理は弁護士へ依頼することもできますが、どの弁護士でも債務整理の手続きが得意なわけではありません。

「1社あたり」140万円を超えない借金であれば、司法書士へ依頼するとコストを抑えることが可能です。ケースに応じて弁護士や行政書士と連携できる法務事務所や、過払い金請求の取扱い実績が多い司法書士を選べば、個別の事情を考慮した適正なサポートを受けることができるでしょう。

初回相談の際に話しやすいか、費用について明確な説明があるかといった点もチェックします。過払い金請求のサポートに強い専門家なら「カードの明細がない」「いくら払ったかも覚えていない」といった場合でも、丁寧に対応してもらうことが可能です。

まとめ

過払い金請求のリスクは、現在返済中の場合はブラックリスト入りするリスクがあり、完済している場合は時効を迎えると請求できなくなるリスクがあります。

自身で手続きすることもできますが、交渉が失敗したり、債権者と揉めたりしてしまうリスクがあるため、専門家へ依頼して進めるのがよいでしょう。

専門家を選ぶ際は債務整理の実績が豊富で、費用や流れについてのアドバイスがわかりやすいかどうかなどをチェックして選びます。過払い金請求以外の方法で借金が減額できる場合もあるため、気になる方は早めに相談するようにしましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号