自己破産で財産はどこまで調べられる?財産は隠せる?残したい財産があるときの対処法は?
自己破産では借金の返済義務が免除される前提として、価値のある財産はすべて処分されます。中には、この処分を避けるために一部の財産を隠しておきたいと考える人がいるかもしれませんが、財産隠しがばれた場合は大きなデメリットがあるため、このような行動は絶対に避けてください。
本記事では、自己破産で財産を隠すことが可能なのか、財産隠しがばれた場合のリスク等を解説します。
目次
自己破産をするときに調べられること
自己破産は裁判所に借金の返済義務を免除してもらう手続きです。借金を返す必要がなくなる以上、複数の要件を満たす必要があり、裁判所からは以下の事項に調べられます。
破産者が所有している財産
破産者が所有している財産について詳しく調べられます。
自己破産は借金の返済が困難であることが必要なので、不動産、自動車、有価証券のような価値のある財産については、換価処分という財産をお金に換えて債権者に分配する手続きが取られます。
ただし、財産の中でも、衣類や家具家電のような生活必需品は自由財産として扱われ、換価処分の対象にはなりません。
もし、財産調査により財産隠しが発覚した場合、自己破産が認められないのはもちろん、詐欺罪に問われる恐れもあります。
破産者の借金の内容
自己破産は全ての借金が対象となるため、借入先が企業か個人かを問わず、破産者の借金の内容は詳しく調べられます。
債権者からの聞き取り、信用情報機関への情報の照会や通帳の入出金記録まで調査対象となるため、特定の借金だけ隠して手続きをすることはできません。
免責に関する内容
免責に関する内容について詳しく調べられます。免責とは、裁判所が破産者の借金の免除を決定することです。
免責が認められると債権者にとっては大きな不利益になるため、身勝手な理由による自己破産は認めるわけにはいきません。
そこで、法律では、次のような免責すべきでない人の要件を定めており、一つでも当てはまる場合は面で気が認められません。
免責不許可事由
- 債権者を害するような行為をした
- クレジットカード利用による現金化
- 特定の債権者だけに優先して返済した
- ギャンブルで借金をした
- 破産申立ての日より1年前から信用情報を偽って借金をした
- 自己破産の調査で裁判所にうその報告をした
- 破産の手続きを妨害した
- 過去7年以内に自己破産をしている
自己破産をするときに財産を隠したらどうなる?
隠したことは必ずバレる
前項の通り、自己破産の手続きでは裁判所による調査が徹底的に行われるため、たとえ一部であっても財産や借金を隠すことはできません。
現金で隠し持っていたとしても、通帳の入出金記録や家計簿等の記録を照合することによってつじつまが合わない部分が出てくるためばれてしまいます。
免責許可がおりなくなる
そして、裁判所に虚偽の報告をすることは免責不許可事由に該当するため、免責許可が下りることはありません。その場合、借金は全額支払わなければならないのはもちろん、悪質だと判断されれば、詐欺破産罪として刑事罰の対象となります。
任自己破産をしても残したい財産があるときの対処法
自己破産の手続きでは、財産や借金の事実などの隠し事はできません。もし、どうしても自己破産後も残しておきたい財産がある場合は、次のような手続きを検討してください。
自由財産の拡張を相談する
自由財産の拡張を弁護士・司法書士に相談しましょう。
自己破産では、価値のある財産は換価処分によって債権者に分配されますが、この換価処分の対象にならないのが自由財産です。
自由財産
- 99万円以下の現金
- 差し押さえ禁止財産
- 破産管財人が財団から放棄した財産
- 裁判所が自由財産として拡張を認めた財産
④にあるように、①~③に該当しなくても裁判所が認めた財産は自由財産として扱われます。例えば、自動車であっても年式が古い場合は拡張が認められるケースが多いようです。
任意整理や個人再生を検討する
財産を残したい場合は、任意整理または個人再生のような別の手続きを検討してみてください。
任意整理は債権者との交渉により手続きを進めるため、自己破産のように財産の制限などはありません。
また、個人再生も財産を手放す必要はなく、自宅については住宅ローンが残っていても手放さずに手続きをすることが可能です。
ただし、任意整理・個人再生ともに自己破産のように借金を0にすることはできないため、財産を残す利益と借金を0にする利益を比較して慎重に検討する必要があります。
まとめ
自己破産では裁判所による徹底的な調査が行われるので、財産や借金を隠すことはできません。もし財産隠しや虚偽の報告が発覚した場合、自己破産ができないばかりか詐欺破産罪に問われる恐れがあります。
残したい財産がある場合は、自由財産の拡張や別の手続きを選ぶことによって残せるかもしれないため、そのような場合は弁護士や司法書士に相談をしましょう。