債務整理で住宅ローンはどうなる?任意整理後の審査は通る?
債務整理を検討する際に、気になる材料の1つとして「住宅ローンがどうなるか」ということを考える方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンも債務整理の対象になるのか、ローンを残したままで債務整理をするとどうなるのかに加え、債務整理後にローンを組むことができるのかも気になるところです。
ここでは、債務整理と住宅ローンはどのように考えればよいのか、債務整理後にローンを申し込んだ場合に審査が通るのか、そもそもローンを組むことはできるのかなどについてわかりやすく解説しています。
目次
どう考える?債務整理と住宅ローン
まずは、既に住宅ローンがある場合の債務整理について解説します。
住宅ローン自体は債務整理できない
結論から言うと、原則として住宅ローンは債務整理できないことになっています。そのため、「住宅ローンの返済が苦しいから債務整理で減額する」ということはできません。もし住宅ローンの返済が厳しいと感じる場合は、それ以外の返済や支出を見直すこととなります。具体的には、任意整理で住宅ローンを除いた借金やローンの返済条件を交渉し、利息のカットや返済期間の延長などを行うことで生活を立て直します。
住宅ローンの返済のためにカードローンに手を出す、他の金融機関から借り入れをして住宅ローンの返済に充てる、といった自転車操業はおすすめしません。あっという間に借金が膨らみ、多重債務に陥ってしまうリスクが高いからです。
住宅ローン以外に借金がない場合は、住宅ローンを借りている金融機関へ連絡し、返済計画について相談する方法もあります。支払いを滞納する前の早い段階で相談することで、ボーナス払いを減額したり、一時的に利息のみの返済にしたり、といった検討ができる場合があります。
いずれの場合も返済期間が長引いたり、ボーナス月以外の返済が高くなったりしてしまうといったデメリットはありますが、一時的に返済が厳しい際は有効な場合があるでしょう。
契約当時より大幅に収入が下がってしまったという場合は、住宅の売却も検討しつつ、無理のない返済方法を考える必要があります。
住宅ローンを滞納するとどうなる?
どうしても返済期日に間に合わず、住宅ローンを滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか。
- 督促、催告:返済を滞納すると、数ヶ月以内に督促状などの通知書が届きます。封書だけでなく、電話による督促も受けることとなるでしょう。
- 期限の利益喪失通知:督促や催告書を無視していると、内容証明郵便で「期限までに返済がない場合、一括返済となる」といった旨の通知が届きます。実際、一括返済は金融機関が設定した保証会社へ請求され、ここで債権が金融機関から保証会社へと移ります。
- 競売:保証会社から競売の申し立てが行われ、決定すると裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。その後は執行官による現況調査などを経て入札、落札され、住まいを明け渡すこととなってしまうでしょう。最初の滞納から競売が開始されるまでは、およそ半年~8ヶ月程度で進みます。
住宅を残したい場合の債務整理
借金は減らしたいが、住宅は手放したくないという場合、住宅ローンを除外して任意整理を行うか、または住宅ローン特則付きの個人再生を選択します。
個人再生では、今ある借金を5分の1から最大10分の1にまで減額できる債務整理です。任意整理よりも大きく借金を減額することができるため、住宅ローンを返済しながら生活再建を図ることが可能です。
ただし、住宅ローン特則付きの個人再生は「安定した収入がある」「住宅ローンが代位弁済(保証会社が立て替え)されていない」など、利用できる条件があります。個人再生できるかどうかの判断がつかない場合は、司法書士や弁護士へ相談してみるとよいでしょう。
住宅を手放してもよい場合の債務整理
住宅を手放してしまっても構わない場合は、自己破産することで月々の返済をゼロにすることが可能です。
自己破産では、保有している財産を処分して債権者へ分配することと引き換えに、借金を免除してもらう債務整理です。自己破産すれば住宅は手放すこととなりますが、債務をゼロにすることが可能です。
一旦住宅を手放して債務整理を行った場合、借金の減免を受けてから再び住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。
債務整理の後に住宅ローンを組むことはできる?
債務整理後に住宅ローンを組むことはできるのかについて解説します。
一定期間はローンが組めなくなる
債務整理した後には住宅ローンだけでなく、一定期間ローンが組めなくなってしまいます。これは債務整理をしたことが信用情報に事故情報として記録されてしまうためです。事故情報はほとんどすべての金融機関が共有するため「過去に債務整理したことがある人」ということがわかってしまいます。
そうなると、新たなローンを申し込んでも「本当に返済能力があるのかな」と疑われたり、審査に通らない理由になります。同じ理由で、保証人になれない、クレジットカードの発行ができないといった状況になることも理解しておきましょう。
住宅ローンはいつから組めるようになる?
債務整理による事故情報は、債務整理の完了後5~10年は記録が残ってしまいます。その後であれば事故情報が消えているので、新しくローンを組める可能性も出てくるでしょう。
ただし、5~10年経てば必ずローンが組める、という訳ではありません。その時の収入や勤務状況、ローンの額などによっては審査に通らない可能性も充分考えられます。
債務整理後に住宅ローンの審査を通すには?
債務整理後に住宅ローンの審査を通したい場合には、以下を参考にしてください。
債務整理後に住宅ローンを組むためのポイント
債務整理後に住宅ローンの審査に通るためには、頭金にできる貯蓄をしっかりと増やすこと、審査の対象となる収入や勤続年数を増やして、安定した収入がある状態をキープすることが大切です。
自分だけでは不安な場合、家族や配偶者とのペアローンを選択する、といった方法もあります。
債務整理後に住宅ローンを組む際の注意点
住宅ローンを申し込む前に、信用情報から事故情報が消えているかを確認するようにしましょう。信用情報機関はいくつかありますが、どこも本人であれば比較的簡単に情報開示の請求をすることが可能です。
勤続年数は短くても1年以上は継続しておきたいところです。債務整理後も滞納がないこと、収入に見合わない借金をしていないことも、再び借金返済で苦しまないために重要です。「住宅ローンが組めるだろうか」と不安な気持ちになる前に、ローン返済で悩んだら早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
債務整理を行う場合、住宅ローンを債務整理することはできないため、住宅ローン以外のローンを任意整理するか、住宅ローン特則付きの個人再生をするか、住宅を手放すつもりで自己破産するかの選択をすることとなります。
住宅ローンは滞納すると半年から8ヶ月程度で競売にかけられる場合もあるため、手放してもよい場合は債務整理する前や滞納する前に売却を検討した方がよいかもしれません。
債務整理後は事故情報が消えれば新たに住宅ローンを申し込むことは可能ですが、安定した収入や一定以上の勤続年数などがないと審査は通りにくくなります。将来設計がある場合は、できるだけ早い段階で専門家へ相談して、滞納のリスクを避けるようにしましょう。
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