完済証明書とは?必要な場合や入手する方法を解説!
任意整理の手続き後、返済を続けていると「完済証明書」という書類が送られてくることがあります。これはどのような書類で、どういったときに必要となるものなのでしょうか。完済証明書を入手する方法や注意点なども知っておきたいところです。
ここでは、完済証明書の概要や入手方法、必要となるケースなどについてわかりやすく解説しています。
目次
完済証明書とは
はじめに、完済証明書とはどのような書類なのかについて解説します。
借金を完済したときに発行される証明書
完済証明書とは、借金をすべて支払い終えた後に送られてくる書類です。債権者から「借金が完済した」ということを証明する書類であり、借金の返済が終わったことの証明書でもあります。
完済証明書があれば、万が一債権者から誤った借金の請求などが来た場合でも、既に完済している事実をすぐに証明することができます。
完済証明書が発行されるケース
完済証明書が発行されるケースには、以下のようなものが挙げられます。
・任意整理による返済が完了したとき
任意整理とは、借金の返済が苦しいときに、お金の借入先である債権者と交渉し、利息のカットや返済期間の延長、月々の返済額の見直しなどを認めてもらう債務整理の1つです。任務整理開始後の計画による返済が完了したら、債権者から完済証明書が届きます。任意整理による返済を専門家へ委託している場合には、専門家の事務所に完済証明書が届くケースもあります。
・ローンの支払いが終わったとき
住宅ローンや自動車ローンなど、長期に返済するローンでは、すべての支払いが終わった際に完済証明書が発行されることが多いでしょう。ローンを完済したことが証明できるため、完済証明書によって財産としての価値や自身の名義であることを証明しやすくなります。
・借金を完済したとき
任意整理によらず、消費者金融からの借り入れを完済した場合にも、完済証明書が発行されるケースがあります。完済証明書は消費者金融への返済を完了したら必ず送られてくる、というわけではなく、対応は契約内容や金融機関によって異なるようです。ネット系の金融業者によっては、完済証明書の発行は行っておらず、残高が0になっていることを確認済みの上残高証明書を印刷する場合や「カードローンご解約のお知らせ」として送られてくるメールを印刷して証明書とするとしている場合があります。
債務整理で完済証明書が発行されるタイミング
債務整理の手続き後に返済が発生するのは「任意整理」と「個人再生」です。任意整理で完済証明書が送られてくるタイミングとしては、決定した返済計画に基づいて返済を続け、最後の返済月に支払いを完了した後となります。
個人再生の場合、返済計画の認可は裁判所が行うこととなります。認可後の返済に裁判所は関与しないため、裁判所から完済証明書が送られることはありません。個人再生で決定した返済計画に沿って完済した場合に、完済証明書を送るかどうかは債権者によって対応が異なります。そのため、完済証明書を発行してほしい場合は債権者へ発行の依頼をすることとなります。
完済証明書の入手方法と注意点
完済証明書を入手する方法と、送ってもらう場合の注意点について解説します。
請求しなくても届く場合がある
完済証明書は、完済後何もしなくても債権者から送られてくることもありますが、請求しないと届かないことも少なくありません。完済後しばらく待っても届かない場合は債権者へ問い合わせるか、完済証明書の発行を請求することとなります。
返済を専門家へ委託している場合は、専門家へ完済証明書が届いていないか確認してみましょう。
金融機関へ完済証明書を請求する方法として、まずは問い合わせ先へ電話またはメールで連絡をします。完済証明書の発行については各社対応が様々で、インターネットなどから簡単に申請が可能な場合もありますが、窓口へ行って記入捺印などが必要な場合もあります。
金融機関によっては、完済証明書の発行をしていない場合や、完済証明書の代わりに金銭消費貸借契約書の原本を送ってくる場合もあるようです。完済証明書が入手できなかったとしても、返済計画書と月々の返済履歴がわかる通帳などを揃えることで、完済の証明に代えることが可能です。
請求する場合は送り先に注意
債務整理の手続きと返済を専門家へ依頼している場合、専門家のもとへ完済証明書が届き、自身で返済している場合は自宅へ届くこととなります。しかし、債権者によっては専門家へ依頼していても本人の自宅へ完済証明書が送られてくる可能性もあります。
家族に内緒で任意整理したような場合は、事前に完済証明書の送付先を専門家の事務所に指定しておくようにしましょう。窓口で直接受け取りが可能な場合は、取りに行く方法もあります。
請求後すぐに届かない場合もある
完済証明書は、完済後や発行の請求後すぐに届かない場合があります。完済した履歴が反映されるのにある程度の日数がかかる場合があるのはもちろん、請求後郵送で送られる場合には更に時間がかかるでしょう。請求時にいつ頃届くかの目安を確認することも大切です。証明書が必要となるケースなどで入手しようとする場合、手続きに間に合わなくなるのを防ぐためにも、余裕を持った時期に請求するようにしましょう。
完済証明書が必要となるケース
完済証明書が必要となるケースについて解説します。以下のような場面では、完済証明書の提出が必要となる場合があります。
新たに借金をするとき
過去の借金を完済したという証明は、借金をしても支払える能力があるという証明にもなります。借金を完済後、新たに融資や借り入れをする際、借り入れのプランや金融機関によっては、必要書類として完済証明書の提出を求められる場合があるでしょう。
複数の借金がある状態で一部の借金については完済している、といった状況で新たに借金する場合なども、完済証明書を求められることがあります。
住宅ローンを申し込むとき
借金だけでなく、住宅ローンや車のローン、教育ローンなどを申し込む場合も、完済証明書が必要な場合があります。特に住宅ローンは多額のローンとなることが多く、返済する期間も長期化しがちなため、他の債務がないかどうかをかなり慎重にチェックされることとなります。
「過去に借金の履歴はあるが、現在は完済している」という証明として、完済証明書の提示を求められるケースが多いでしょう。
債務整理を検討するなら専門家へ相談しよう
任意整理や債務整理は自分自身で手続きすることも可能ですが、専門家へ依頼すると催促の連絡から解放される上、スムーズに手続きを進められます。完済証明書の送付先を専門家の事務所に指定したり、和解後に専門家へ返済を委託(専門家へお金を振り込み、専門家経由で債権者へ返済)したりすることも可能です。
債務整理の取扱い実績が豊富な司法書士や弁護士を選べば、完済証明書の発行や請求、完済後にローンを組む際のアドバイスなどを受けることもできます。借金返済や債務整理で迷った場合は、一度専門家へ相談してみましょう。
まとめ
完済証明書とは、借金をすべて返済したことを債権者が証明する書類です。完済証明書は、任意整理などで和解後に残った支払いをすべて返済した後や、消費者金融からの借り入れを完済したとき、長期のローンを完済したときなどに発行されるのが一般的です。任意整理後に新たな借金やローンを組む場合に提出が求められる場合がありますが、債権者である金融機関によって完済証明書発行への対応はまちまちなため、必要となる前に余裕を持って入手しておくようにしましょう。