自己破産とは?~自己破産手続きのメリット、デメリットの解説 借金0への道~

2023.02.16 自己破産
自己破産とは?~自己破産手続きのメリット、デメリットの解説 借金0への道~

自己破産とは

自己破産手続きとは、借金の返済額が収入に比べて過大になってしまった場合に、裁判所に申立てをして「免責許可」をもらって、借金の返済を免除してもらう手続きのことです。

免責許可が下りた後は、税金や健康保険等の一部を除き借金を返済する必要がなくなります。

自己破産 よくある質問

Q だれでも自己破産はできるの?

A 借金の支払いが不能な人は、自己破産ができます。

Q ギャンブルやキャバクラなどの浪費が原因で借金をした人は?

A 原則として自己破産できませんが、事情によっては裁判所の判断でできる場合もあります。

Q 警備員をしているのだけど自己破産して問題ない?

A 警備員などの一定の職業の方は、破産手続の開始決定により、資格が喪失するので自己破産するかどうかはよく検討したほうが良いでしょう。

Q 家族や会社に内緒で手続きできる?

A 官報という政府が発行する新聞のようなもので、自己破産する旨と住所等が掲載されるため絶対に知られないとは言えない。

Q 家族に影響はない?

A 自己破産をしても家族に直接影響はありません。

Q 破産にかかる費用は?

A 自己破産をする際に必要な費用は申立て費用等数万円と管財人が選任される場合は、管財費用20万~50万円がかかります。ほかに専門家に申立ての依頼をする場合は、別途報酬等がかかります。

Q 管財費用とか用意できないんだけど?

A 専門家に依頼した場合は、支払いを止めている間に毎月分割して振り込みます。自分で手続きする場合は、支払いを止めて管財費用等を貯めることになります。

Q ブラックリストとかどうなる?

A 信用情報機関には5年から10年影響が残りますのでその間は借入等ができません。

Q 親戚や知り合いから借りているんだけど?

A 親戚や知人からの借り入れも自己破産手続きに含めなくてはいけません。

Q 家や財産はどうなる?

A 20万円を超えるものは原則処分されます。退職金の見込み額や解約返戻金も財産に含まれます。

Q 破産手続き中に海外旅行に行ける?

A 破産手続き中は、破産管財人の同意や裁判所の許可が必要なことがあります。

 

自己破産のメリット

ここで、自己破産のメリットについて触れていきましょう。

 

  • 非免責債権を除き借金がなくなり、返済が不要となる。
  • 職や生活保護受給中の場合など、返済ができない方も選択できる手続きであり、自己破産手続きによって、生活保護が受けられなくなることはない。
  • 債権者による給料差し押さえなどの強制執行を止めることができる。

 

自己破産のデメリット

今度は自己破産のデメリットについて簡単にみていきましょう。

 

  • 一部の債権者を除いて手続きをすることができない。お世話になっている親戚などからお金を借りている場合でも、その人を除外することはできない。
  • 同一家計の収支等について裁判所に報告する必要があるため、家族に内緒で手続きすることが難しい。
  • 信用情報機関に情報が登録され、借り入れが一定期間できなくなる。登録後5年~10年とされています。
  • 住所氏名が、「官報」という国が発行する機関誌に公告される。
  • 免責許可決定が出るまで、警備員や保険の外務員などの一定の職業につけない場合がある。
  • 20万円以下の預貯金や高額でない家電、車などの財産は残すことができるがそれ以上の財産については手放す必要がある。

 

自己破産の種類

自己破産には、「管財事件」「少額管財」「同時廃止」の3種類があります。

どの手続きになるかは、申立人の経済状況や借金額、借入の態様などを考慮して裁判所により判断されます。

 

管財事件

管財事件とは、高額な財産がある場合や、申立人が経営者や自営業者であるケース、借金の原因がギャンブル・浪費の場合など借金をした原因に問題があるケースで取られる手続きです。

管財事件では、裁判所から選任された破産管財人が、申立人の借金について調査したうえで、申立人が所有する財産を換価処分して債権者に分配する業務を行います。破産管財人の報酬も支払う必要があるので、同時廃止よりも費用が高く、手続き終了までの期間も長くなります。

 

同時廃止事件

同時廃止とは、預貯金や不動産、高価な財産などがない場合の自己破産手続きです。管財事件と違い、破産管財人がつかないため、費用もあまりかからず、時間もかかりません。

 

少額管財事件

管財事件のうち、少額管財事件」と呼ばれる手続きがあり、大都市の裁判所など特定の裁判所で運用されています。少額管財事件は、管財事件よりも手続きが簡略化しており、裁判所に納める予納金が少額で済むメリットがあります。ただし、少額管財事件は、弁護士が申立代理人となる必要がある点など注意が必要です。

自己破産の手続きの流れ

  1. 司法書士に依頼をすることで、各債権者に受任通知が届き、督促が停止する。
  2. 司法書士が債務の調査及び収入や支出を確認して、破産申立書の作成をする。
  3. 通帳や、借入の経緯説明書など必要な書類等の準備
  4. 3と並行して、司法書士報酬等の分割支払い
  5. 書類作成及び分割支払いが終わったら裁判所に申立て書提出
  6. 裁判所での面接(破産者審尋、弁護士に依頼した場合は原則不要)
  7. 自己破産手続きの開始決定(同時廃止の場合は、決定と同時に自己破産手続きの廃止決定もなされる)
  8. 管財事件の場合は管財人が選任され、財産の換価配当業務などが行われる
  9. 裁判所での面接(免責審尋)
  10. 免責許可または不許可決定

 

まとめ

自己破産は、借金の返済額が収入に比べて過大になってしまった場合に、裁判所に申立てをして「免責許可」をもらって、借金の返済を免除してもらう手続きのことです。免責許可を得れば、非免責債権を除いて借金が0になるメリットと、財産が処分されたり、一定期間借入等ができなくなるデメリットがあります。

また、職業制限などもあるため、条件に当てはまる人は良く考えて申し立てをする必要があるでしょう。不動産が残したい場合は個人再生手続きや、不動産以外の財産がある場合は任意整理などの債務整理手続きもあります。

なにが良いのか分からなくなってしまったときは、弁護士や司法書士の専門家に一度相談してみるのが良いでしょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号