自己破産するとできないことって何?手続き中や完了後の注意点を解説
自己破産するとできないことには、どのようなことがあるのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。自己破産すると何ができて何ができないのかを事前に知っておくことで、手続き後のイメージや計画も立てやすくなるでしょう。
この記事では、自己破産するとできなくなることを「手続き中」と「手続き後」に分けて解説するほか、自己破産してもできることやメリット、デメリットなどについてご紹介しています。
目次
自己破産すると何ができなくなるのか
自己破産するとできなくなることには、どのようなものがあるのでしょうか。手続き中と手続き完了後のできないことについて、それぞれ解説していきます。
自己破産の手続き中にできなくなること
自己破産の手続き中にできなくなることとして、「債権者への借金返済や交渉」などが挙げられます。自己破産の手続きを専門家へ依頼した場合、専門家は依頼したその日または翌営業日には債権者に宛てて受任通知を送ります。受任通知とは、「自己破産手続きを一任されたため、今後は本人の代わりに専門家が行う」という旨の通知です。受任通知を受け取った債権者は、手続き中に借金の催促を含む一切の連絡を本人と取ることができなくなるのです。催促だけでなく、返済自体もストップすることとなるため、債務者である本人は自己破産の手続き中に一部の債権者にだけ借金を返済したり、個別に交渉したりできなくなります。
「職業の制限」も、自己破産手続き中にできなくなることの1つです。弁護士や公認会計士、通関士などの士業や保険外交員、質屋、警備員といった職業に従事している場合、自己破産手続き中は仕事をすることができなくなる点も注意が必要です。また、株式会社の取締役・監査役については退任事由となります。
このほか、自己破産手続き中は「引越しや遠方への旅行などの移動制限」があります。
「保有財産の制限」についても、債権者への分配や管理が必要となる可能性があるため、手続き中は勝手に財産を使ったり、処分したりすることはできなくなります。給与は最大手取りの4分の1または33万円を超えた額は処分対象となり、預貯金や退職金なども一部を除いて手元に残せなくなります。
また、自己破産の手続きによってクレジットカードは強制解約となり、ブラックリストにも履歴が残ることとなります。ブラックリスト期間中は新規のカード発行やローンを組んだり、借金をしたりなどができなくなります。
多くの自己破産手続きでは「同時廃止」となることが多いですが、管財事件や少額管財などになった場合、手続き中は自分宛ての郵便物がすべて管財人に送られてしまうため注意が必要です。
自己破産完了後にできなくなること
自己破産の手続き完了後も、引き続きブラックリスト入りした状態は継続されるため、手続き完了後5~10年は新規のカード発行や借金、ローンが組めなくなるほか、保証人になることもできなくなります。
また、自己破産で借金返済の免除が認められる「免責許可」を受けた後、7年間は再び免責を許可してもらうことができなくなるため注意が必要です。
手続き完了後5~10年が経過し、ブラックリストから事故情報が消えても、免責となった借金の債権者である金融機関からの新たな借り入れやカード発行ができなくなる可能性が高いでしょう。
自己破産してもできること
自己破産するとできなくなることは上記で挙げた通りですが、自己破産してもできることについても解説します。
自己破産の手続き中でもできること
自己破産の手続き中に、一部の職業に就いている人は一定期間仕事ができなくなりますが、多くのサラリーマンや自営業者の場合、自己破産の手続き中でも継続して働くことが可能です。自己破産を理由にクビにしたり、採用を断ったりすることはできないよう法律でさだめられているため、働くのはもちろん、求人への応募や転職も可能です。
自己破産完了後でもできること
自己破産手続き中は旅行や引越しなどの移動制限がかかりますが、手続きが完了すれば自由に移動できるようになります。一定を超える財産は処分対象となるものの、生活に必要な額は保障されるため、自己破産後も少額なら資産の維持が可能です。
このほか、自己破産の手続き中や手続き完了後であってもできることとしては
- 結婚
- 年金受給
- 生活保護
- 家族名義の資産やカードの保持
などが挙げられます。家族が保証人になっているといった場合を除き、家族名義の資産については自己破産の影響を受けないのが一般的です。
自己破産のメリットとデメリット
自己破産によって得られるメリットとデメリットについても見ていきましょう。
自己破産のメリット
自己破産することによる最大のメリットは、借金を免責にできる点です。いくつかある債務整理の中でも、借金がゼロになる手続きは自己破産だけとなります。様々な事情で借金を返済できないことについて裁判所を通して認めてもらえれば、その後の人生を建て直すことも充分に可能です。
現在働くことができない人や、経済的に余裕のない人、処分できる財産もない人にとって、自己破産するメリットは大きなものとなるでしょう。
また、破産手続きを専門家へ依頼すると、借金の取り立てや催促がストップする点にメリットを感じる方も少なくありません。頻繁にかかっていた連絡が止まることで、精神的な負担もかなり軽減できます。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットとしては、上記で挙げたようなできなくなることがある点、制限や制約を受けることや官報掲載、ブラックリスト入りなどに加え、手続きが失敗した場合のリスクも挙げられるでしょう。その他にも、家財道具などの一定の財産以外は全て失うことになります。
- 自分で手続きした
- 別の債務整理の方が向いていたのに自己破産手続きを進めた
- 自己破産手続きの実績が少ない専門家へ依頼した
- 賭博や浪費などの理由で借金が増加している場合
- 財産を隠蔽した場合
といった場合には、破産手続きがスムーズに進まないだけでなく、免責不許可となって借金が免除されない可能性もあります。
一度免責不許可となった場合、再抗告することは可能ですが、裁判所が出した結果を覆すのは難しくなってしまいます。免責できないとなれば、ストップしていた催促も再開し、遅延損害金も上乗せされて一括請求される可能性が高まってしまいます。
自己破産や債務整理は専門家へ依頼しよう
自己破産は「自己破産手続きに向いている状況の人」が「債務整理の実績豊富な専門家へ手続きを依頼」して、スムーズに免責許可となることが大きなメリットとなります。
自己破産の手続きによって生じるリスクやデメリットよりも「失敗しない自己破産」「失敗しない債務整理」を選択することが大切です。
みどり法務事務所では、自己破産やその他債務整理に関する数多くの取扱い実績を誇っています。全国どこでも対応可能で、ケースに応じた最適なアドバイスで問題解決のお手伝いをいたします。自己破産や債務整理で迷ったら、フリーダイヤルまたは専用のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
自己破産すると、手続き中は「移動制限」や「一定の職業制限」などがあり、手続き中にブラックリスト入りすることで、手続き完了後もカードを作ったりローンを組んだりすることが一定期間できなくなります。逆に転職や結婚、家族名義の財産保有などは問題なく、仕事もクビにならずに働くことが可能です。自己破産では手続き中のデメリットよりも、手続きに失敗した場合のデメリットが大きいため、自己破産手続きに強い専門家へ相談して進めることが大切となります。