自己破産すると家族はどんな影響を受ける?秘密にしたい場合の対処法も解説!

2023.10.31 自己破産
自己破産すると家族はどんな影響を受ける?秘密にしたい場合の対処法も解説!

自己破産すると家族はどんな影響を受けることになるのでしょうか。「借金返済の苦しみから抜け出したいけど、家族への影響が心配」「自己破産で家族に迷惑をかけたくない」と考える方も多いことでしょう。家族に内緒で自己破産することが可能なのかも気になるところです。

この記事では、自己破産すると家族にどんな影響があるのか、家族に内緒で自己破産できる可能性などについて解説しています。家族への影響が心配な場合の対処法についても紹介していますので、借金返済でお悩みの際の参考としても役立つ内容となっています。

自己破産で家族が受ける影響

自己破産で家族に影響が出るケースには、以下のようなものが挙げられます。

使えなくなるものがある

自己破産すると、所有している財産がある場合は手放す必要があります。持ち家や自動車などがなくなれば、一緒に住んだり移動したりしている家族も使えなくなってしまうでしょう。破産した本人名義の預貯金や現金なども、生活に必要な最低限を残せる以外はすべてなくなってしまうため、生計を同じくしている家族の生活にも大きな影響が出てしまいます。

契約できなくなるものがある

自己破産するとクレジットカードが強制解約となるため、家族カードを持っている家族に影響が出ることとなります。ただし、自己破産前に長期でカードローンを滞納している場合などは、破産手続き前の段階で既に強制解約されているでしょう。

本人名義で加入している生命保険などの各種保険も強制解約となり、子どもの学費資金として加入している学資保険なども解約となってしまいます。家族名義の保険には原則影響が出ることはありませんが、家族名義であっても支払いは破産した本人が行なっていたような場合には、本人の財産とみなされるケースもあるため注意が必要です。

また、家族がローンなど新しく契約する場合に、自己破産している本人が保証人になることは一定の期間できなくなります。

家族が返済義務を負うケースもある

自己破産で免責が決定すると、破産を申し立てた本人は借金を返済しなくてもよくなりますが、家族が借金の保証人になっていた場合には家族に請求の連絡がいくこととなり、自分の代わりに家族が返済義務を負うこととなる点も注意が必要です。

保証人による返済となると、期限の利益を失うことになるので、借金を一括で返済しなければなりません。一括返済が無理となると、保証人である家族も債務整理の手続きをすることとなってしまいます。

家族に影響がないものは?

基本的には、家族名義で契約しているローンや所有している住宅、車などに影響が出ることはありません。自己破産したとしてもその家族が結婚することも可能で、仕事ができなくなることもありません。

家族に秘密で自己破産することはできるのか

家族に秘密で自己破産することができるのかについて解説します。

家族に秘密で自己破産できるケース

現在一人暮らしである、家族と離れて暮らしているといった場合は、家族に内緒で自己破産の手続きができる場合があります。兄弟や友人などとルームシェアしている場合でも、生計が別であれば秘密にできる可能性があります。

ただし、配偶者がいる場合には、一人暮らしをしていてもバレるリスクが高まります。配偶者に収入がある場合、収入を証明する書類の提出が必要となるからです。収入が低く、家族に扶養されている場合も秘密にするのは難しいでしょう。また、可能性は低いですが、自己破産すると官報に氏名が掲載されますのでここからバレる可能性もあるでしょう。

自己破産は家族にバレる可能性が高い

生計を同じにしている同居の家族がいる場合、電話連絡や裁判所からの通知などが隠しきれなくなることに加え、持ち家や車も手放す必要があるため、基本的に家族にバレないように自己破産するのは難しいと考えた方がよいでしょう。また、家族と生計を共にしているということは、自己破産を認めるか否かを家族の収入も含めて判断することとなるので、家族の給与明細や所得証明が必要となります。

自己破産したことが後でバレてしまった場合、自己破産の手続きそのものよりも、黙って手続きをしたことで関係が悪化するケースも少なくありません。破産手続き時の状況によっては処分する財産が残っておらず、ほとんどを手放さずに済むケースもあります。借金の返済が難しいこと、自己破産することについてできれば家族に説明し、手続き前に理解してもらっておいた方がよいでしょう。

自己破産による家族への影響が心配な場合の対処法

自己破産による家族への影響は決して少なくなく、家族に秘密で自己破産するのも難しい場合が多いでしょう。だからといって、借金の返済が苦しい状況をそのままにしておくのはおすすめできません。自己破産による家族への影響が心配な場合の対処法について見ていきましょう。

他の債務整理を検討する

借金返済に悩む理由は人によってさまざまです。「今住んでいる持ち家は手元に残したい」「現在一時的に返済が苦しいだけで、完済すること自体は可能」といった場合もあるでしょう。

もし自己破産による影響が心配な場合には、他の債務整理を検討する方法もあります。債務整理には、自己破産のほかに「個人再生」「任意整理」などが挙げられます。

いずれの債務整理も、自己破産のように借金をゼロにすることはできませんが、個人再生は住宅や車を手元に残したまま、借金を大幅に減額できる場合があります。任意整理では利息のカットや返済計画の見直しなどができるうえ、交渉したい債権者を選ぶことが可能です。過去の返済で払い過ぎた利息がある場合に、返還請求できる「過払い金請求債務整理の1つです。

そもそも自己破産より他の債務整理の方が適正なケースもあるため「借金を払えないから破産するしかない」と思い込まずに情報収集することが大切となります。

財産隠しは絶対にNG

破産手続きの際に、家族への影響を回避する目的での離婚や、特定の借金だけを返済する「偏波返済」などはしないようにしましょう。

自己破産の際に離婚して財産分与や名義変更をしたり、家族への借金だけを返済したりすると、破産手続き時に裁判所から「財産隠し」とみなされる可能性があります。裁判所から財産を隠しているとみなされた場合、免責不可として借金がゼロにならないだけでなく、詐欺罪などで処罰の対象となってしまう可能性もあります。

とはいえ、自己破産を理由に離婚されてしまうケースもゼロではないため、財産隠しが目的で離婚した訳ではないと証明できる場合もありますが、自己判断で安易に離婚や偏波返済を行うのはおすすめしません。「離婚したいと言われている」「家族への借金を先に返してほしいと言われている」といった悩みも、隠さずに専門家へ正直に相談することが大切です。

借金返済で迷ったら専門家へ相談してみよう

自己破産することによるデメリットもある反面、借金を免責にできるメリットは大きく、自己破産することで人生を建て直し、将来に希望を持って過ごすことも可能となります。自己破産以外の方法が検討できる場合もあるため、借金返済で迷ったら早めに専門家へ相談し、サポートを受けるようにすることをおすすめします。

まとめ 

自己破産した場合、持ち家や車、預貯金などの財産を手放す必要があるため、生計を同じにしている家族がいる場合は家に住めなくなったり、車に乗れなくなったりするため大きな影響が出ることとなります。一人暮らしの場合は家族に秘密で破産手続きができる場合もありますが、秘密にしたことが原因でトラブルになる可能性もあるため、手続き前に説明して理解を得ておいた方がよいでしょう。自己破産で財産がなくなるのを避けたい場合、他の債務整理が検討できる場合もあります。借金返済で迷った場合は1人で抱えず、早めに専門家へ相談して対処するようにしましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号