任意整理で口座凍結される?注意点や対処法を解説

2023.10.10 任意整理
任意整理で口座凍結される?注意点や対処法を解説

「任意整理で口座凍結された」といった話を耳にすることがありますが、果たして本当なのでしょうか。任意整理で口座凍結される可能性があるのか、その場合の流れや対処法などがあるのかも気になるところです。

この記事では、任意整理で口座凍結されてしまうケースや、凍結される場合の流れについて分かりやすく解説しています。口座凍結の可能性がある場合に取るべき対処法についても紹介していますので、借金返済や任意整理について知りたい際の参考としてお役立てください。

任意整理で口座凍結されるケースとは

結論から言うと、任意整理において口座凍結されてしまうケースはあります。任意整理の概要と、口座凍結されてしまうケースにはどのようなものがあるのかについて解説しましょう。

任意整理とは

任意整理とは、借金の返済が苦しい場合に選択できる債務整理の1つ。債権者である借入先と交渉し、利息の減免や返済期間の延長について合意を得ることで、月々の返済を減額してもらい、3年を目処に返済をしていくという方法です。

任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉して進めるため、個人再生や自己破産よりも手続きがシンプルで、早期に解決しやすいといった特徴があります。基本的に任意整理の手続きで口座が凍結されることはありませんが、ケースによっては口座が凍結されてしまう可能性があるのも事実です。

口座凍結されるケースとは

任意整理によって口座が凍結される可能性があるケースには、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 任意整理の対象に銀行系のローンやカードがあり、その銀行に口座を持っている場合
  • 任意整理の対象とした消費者金融に関連するグループ銀行に口座を持っている場合

 

例えば、A銀行のカードローンを任意整理の対象とした場合、所有しているA銀行の口座は凍結されてしまう可能性は相当高くなります。複数の支店に口座を有している場合は全てが凍結の対象となります。

また、任意整理の対象としているBローン会社という消費者金融に、同じグループ系列のC銀行が存在する場合、C銀行カードローンの銀行口座が凍結される可能性があります。

銀行カードローンは、系列の消費者金融を保証会社としている場合が多く、当該消費金融を任意整理の対象としてしまうと、他のグループ系列の銀行カードローンの口座に影響を及ぼしてしまうのです。

なお、銀行カードローンを利用していない場合は、消費者金融のみを任意整理の対象としていても銀行の口座を凍結されることはありません。

任意整理の対象銀行の口座は凍結のリスクがある

上記で説明した通り、任意整理で必ず口座が凍結される訳ではありませんが、任意整理する債権者の中に銀行系のカードローンなどがある場合には、その銀行で作った口座が凍結される可能性が高まります。

逆に、任意整理の対象にしていない銀行口座や、グループ企業として債権者と関連していない銀行の口座については、任意整理で凍結されることはありません。

任意整理で口座が凍結される場合、どのような流れを取ることとなるのでしょうか。以下で更に詳しく見ていきましょう。

口座が凍結された場合の流れ

任意整理で口座凍結されるタイミングや期間、口座凍結された場合の流れについて解説します。

口座凍結されるタイミング

任意整理で口座が凍結されるタイミングは「受任通知が到達した後」となります。

任意整理を弁護士や司法書士などの専門家へ依頼した場合、依頼された専門家は任意整理の対象となる債権者すべてに「受任通知」と呼ばれる書面を送付します。

受任通知とは、借り主である債務者と貸し主である債権者との間に、専門家が介入したことを知らせる通知のことです。受任通知を受け取った債権者は、以降の連絡や取り立て、交渉などを借り主ではなく専門家と行うこととなります。

受任通知が送られるタイミングは、専門家へ任意整理を依頼した当日か、翌営業日となるのが一般的です。そのため、遅くとも受任通知発送から数日以内には、債権者と関連する口座があれば凍結される可能性があると考えた方がよいでしょう。

口座凍結される期間は?

一度凍結された口座が復活するまでにかかる一般的な期間は、概ね3ヶ月程度とされています。

凍結された口座に残高がある場合は、借金の相殺に充てられる可能性が高いでしょう。残高と相殺しても借金が残る場合は、残額を分割で返済していく流れとなります。

返済不可能となった場合、銀行口座は強制解約されてしまうので、注意が必要です。

口座凍結中にできなくなること

口座凍結中は、口座を使った取引のすべてができなくなります。

残高の引き出しはもちろん、引き落としや振り込みなどもできなくなってしまうため注意が必要です。任意整理の対象としなかったカードの代金や使用料の引き落とし、振替などもストップするため、任意整理の対象にしなかったカードやローンまで解約されてしまうリスクもあります。

凍結された口座が給与振込先になっていた場合、給与が振り込まれた直後に凍結されれば引き出しすることができなくなります。給与が振り込まれる前に凍結された場合は、勤務先へ振り込みできない旨が通知される場合があるため、借金や任意整理の事実がバレてしまう可能性もあるでしょう。

もし口座凍結の可能性がある借金を任意整理したい場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

任意整理による口座凍結の対処法

任意整理によって起こり得る口座凍結への対処法には、以下のようなものが挙げられます。

残高をゼロにしておく

任意整理の手続きに入る前に、凍結される可能性の高い口座があれば、残高をゼロにしておくようにしましょう。

残高ゼロの口座や普段全く使用していない休眠口座であれば、凍結されたとしてもデメリットを最小限に抑えることができるでしょう。

メインバンクを変更する

凍結される恐れのある口座を給与振込先や公共料金引き落とし口座などに指定している場合には、任意整理する前に口座の変更をしておきましょう。

メインバンクとして使用している口座が凍結された場合、生活に生じるリスクがかなり大きくなってしまいます。

メインバンクとして使用していなくても、入金のある口座を見落としていないか、年に1度のみ引き落としのある口座がないかなど、念のためチェックしておくことも大切です。

口座凍結されてしまったら

意整理で口座が凍結される可能性を知らずに手続きを進めてしまった場合や、口座を持っていることを忘れて手続きに入り、凍結されてしまった場合には、自身で対処する前に専門家へ相談するようにしましょう。債務整理の取扱実績が豊富な専門家なら、任意整理の手続きはもちろん、手続きによって生じる可能性のあるリスクについて解決する方法についても熟知しています。

ケースごとに最適なアドバイスがもらえれば、凍結によるリスクを軽減しやすいだけでなく、精神的な負担も軽くすることができるでしょう。

まとめ

口座凍結は任意整理の手続きで必ず起こる訳ではありませんが、銀行からの借入れを任務整理の対象とした場合や、任意整理の対象としている消費者金融と同系列の銀行カードローンを使用している場合は、銀行口座を凍結されるリスクがあります。

口座凍結されるタイミングは受任通知の発送直後であることが多いため、任意整理する前に残高をゼロにする、給与振り込みや引き落としを他の口座へ移動するといった対処が必要です。任意整理時の口座凍結やその他リスクについて不安がある場合は、任意整理に強い「スマサポ」へご相談ください。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号