個人再生できない人、うまくいかないケースとは

2023.06.27 個人再生
個人再生できない人、うまくいかないケースとは

個人再生手続きは、債務整理手続きの一つです。

債務整理は大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」とあります。個人再生は、任意整理では厳しいが破産は避けたいという方には最適な手続きと言えます。

個人再生は任意整理と比べて借金が大幅に減額できますし、破産のように借入原因は問われませ。また職業制限もなく、失いたくない資産をお持ちの方に適しております。

しかし、なかには個人再生を希望してもできない方や、うまくいかないケースがあります。

以下解説していきますので、是非最後までご覧ください。

➀債務総額が5,000万円を超えている場合

個人再生は債務額に上限を設けていますので、債務額が5,000万円を超える方は個人再生ができません。

ここでいう「5,000万円の債務額」とは、再生債権のことをいいます。

再生債権とは、個人再生手続き開始前の原因に基づいて発生した請求権のこといいます。

再生債権として代表的なものとしては、銀行等金融機関からの借り入れ、消費者金融(いわゆるサラ金)、クレジットカードでのキャッシングやショッピングの利用があります。

また、親族や知り合いあるいは勤務先からの借金も含まれますし、事業をしている方であれば、立替金や買掛金、誰かの借金の保証をした場合の保証債務なども含まれます。さらに元金だけでなく、利息や遅延損害金もカウントされます。

なお、税金等の公租公課は再生債権ではなく一般優先債権ですので、5,000万円を超えているかどうかの判断においてカウントされません。

再生債権が5,000万円を超えている場合には、個人再生と比べて手続きが複雑な通常の民事再生を行うか自己破産を選択するかになります。

※なお住宅ローンを返済中の方が住宅ローン特則付の個人再生をする場合は、住宅ローン債務額は5,000万円要件の中に含まれません。

➁継続的な収入がない、あっても不足している場合

個人再生は借金を大幅に減額できますが、返済することには変わらない手続きですので、継続的にある程度安定した収入が必要です。

収入が継続的でなかったり、収入の増減が激しかったり、継続的であっても再生計画に基づく返済をしていける収入がない方は、申し立てをしても認可が下りないこともあります。

ここでいう収入とは、正社員等の給与や役員報酬だけでなく、パートやアルバイト、あるいは年金のみであっても、継続的で安定的にもらえるものならば大丈夫です。

➂多くの財産を持っている場合

個人再生は、破産と違い基本的に財産を手放すことなく手続き可能ですが、財産をたくさん持っているがゆえに手続きに適さないことがあります。

個人再生には弁済額を決める基準の一つに、清算価値というものがあります。これは破産した場合、手元に残してもよいとされている財産以外を売却する必要があるのですが、売却したとしたらどれくらいになるのかを計算します。

たとえば、不動産をお持ちでしたらその評価額(ただし、住宅ローンがある場合は、ローン残額を控除します。オーバーローンの場合は評価ゼロです。)、自動車(ただし、古い年式のお車ならば価値がないと判断できます。)、そのほかに預貯金額貴金属株などの有価証券等の売却可能な資産や退職金見込額保険の解約返戻金なども含まれます。

これを減額できた借金額と比較して、高いほうが個人再生の返済債務額になります。

そのため、清算価値のほうが高い場合は、個人再生するメリットがなくなるということも起こりえます。

※なお上記は小規模個人再生をした場合ですが、個人再生には給与所得者等再生というものもあり、これを使う場合は可処分所得の2年分の額も算出して①減額後の債務額②清算価値③可処分所得の2年分と、この3つを比較して最も高い額が返済額となります。

➃一部の債権者にだけ返済をしてしまった場合

支払期限がきた複数の債務がある場合、支払いは平等に行わなければなりません。

他の債権者への支払いをせずに、特定の債権者だけを優遇して支払いをしてしまうことは偏波弁済と言います。

個人再生では「債権者平等の原則」を守るために偏波弁済は禁止されております。

再生債権には、銀行や消費者金融あるいはクレジットカード会社等企業からの借り入れだけでなく、親族や知人、勤務先からの借金も含みます。

そういった方たちに迷惑をかけたくない、不義理をしたくないという気持ちが先立って偏波弁済をしてしまいがちになりますが、偏波弁済をしてしまった場合、支払った額は財産と評価されて清算価値に算入されますので清算価値が上がります。

その分、再生計画に基づく弁済額も上がるリスクが生じます。弁済額が高額になれば、それに応じた収入も必要になってきます。

もし上がる返済額に応じて収入を確保できない場合は、申し立てができなかったり、したとしても裁判所からの認可が下りないことになります。

※なお、住宅ローン特則を利用した個人再生の場合は住宅ローンの返済のみは認める制度なので偏波弁済にはあたりませんし、税金や社会保険料等の公租公課も除外されますので、支払っても問題ありません。また賃貸にお住いの場合の家賃や水道光熱費等生活に最低限必要とされる支払いはできます。

➄裁判所に提出する債権者一覧表や財産目録に申告漏れや虚偽の記載があった場合

個人再生をする場合、裁判所に債権者や債務額を記載した債権者一覧表を提出する必要があります。ここには、すべての借入先を記載しなければなりません。特定の債権者だけ外すということはできません。

債権者の申告漏れがあると、手続き開始後にその債権者を追加できませんのでその債権者に対して個人再生のメリットである借金の減額ができませんので、通常通りに支払わなければならなくなります。

申告漏れの借金を払うことで弁済額が増えて、結果として再生計画で定めた返済をしていくだけの収入が足らなくなれば、個人再生が失敗に終わる可能性があります。

また個人再生では、手続きされる方が保有している財産を記載した財産目録を提出しなければなりません。財産があるにもかかわらず、故意に記載しなかったり虚偽の記載をすれば、個人再生手続きが廃止になる可能性があります。

➅再生計画の提出期限を守らなかった場合

個人再生の場合、申立したのちに再生計画案を作成して裁判所に提出しなければなりません

再生計画案の提出には期限が決められておりますので、提出期限までに出せなかった場合は再生手続きが廃止打ち切りになります。

再度申立する場合は、余分に費用がかかったりしますので裁判所が定めた期限を守るようにしましょう。

➆小規模個人再生において債権者からの不同意があった場合

個人再生には小規模個人再生給与所得者等再生の2つがありますが、小規模の場合は債権者に反対権(不同意権)があります。

手続き中に債権者に対して、再生計画に同意か不同意かを問う決議が行われます。不同意の回答をした再生債権者が半数以上、または不同意回答をした再生債権者の有する再生債権合計額が再生債権総額の半数を超える場合は、再生計画が認可されません。

※現状では、不同意回答をしてくる債権者はごく一部に限られます。これは反対して、個人再生が出来なければ、あとは破産手続きをせざるを得なくなることが多く、そうなれば債権者にすれば配当をうけられたとしても個人再生と比べると些少な額しか配当されなくなるため、反対するメリットがないからでしょう。

まとめ

上記①~⑦にあるように、個人再生の条件を満たしていなければ申立できませんし、申立をしても受理されずに手続きができません。

条件を満たしていて申立できたとしても、提出した債権者一覧表や財産目録に虚偽の記載があることが判明したり、提出すべきものを期限までに提出しなかったりすると再生計画の認可が下りなくなり、手続きした目的が達成できなくなります。

手続きを円滑に進めていくためには、弁護士や司法書士の専門家に相談していただくのが最善です。

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この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号