自己破産の9つのデメリットとは?自己破産をするとどうなるの?
自己破産は、借金問題を解決するために利用される手続きの一つであり、そのメリットには以下のようなものがあります。
自己破産によって借金の一部または全部が免除されます。これにより、借金問題から解放され、新しいスタートを切ることができるでしょう。
ただし、自己破産手続きにはいくつかのデメリットもあります。信用情報への影響が長期間にわたって残ることや、財産を手放す可能性があることなどです。
本記事を読んで、自己破産のデメリットを通じて自己破産のことを理解し、借金から解放される助けになれば幸いです。
自己破産の9つのデメリット
信用情報機関への影響
自己破産をすると、信用情報機関に自己情報(いわゆるブラックリスト)が登録されます。
自己情報が登録されると、新しくお金を借りたり、クレジットカードの新規発行や車や家のローンを組んだりすることが難しくなります。
①事故情報が登録されるのは一定期間
事故情報が登録されるのは5年から10年の一定期間です。この期間が経過すると、新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができるようになります。
②クレジットカードの代わりにデビットカードを作成してみましょう。
事故情報が登録されるといわゆるクレジットカードの作成や利用が難しくなります。
しかし、銀行口座の残高から直接引き落としがなされるデビットカードについては作成や利用に制限がありません。
インターネットショッピングなどで「VISA」や「JCB」のカードが必要な場合は、各銀行で作成するとよいでしょう。
官報に掲載される
自己破産をすると、官報に破産者の個人情報が掲載されます。
官報とは、国が発行している新聞のようなものです。
この官報を見た人に、あなたが自己破産をしたことが知られてしまう可能性があります。
しかし、官報は特別な場所でしか手に入れることができないものですし、一般の方は見る機会がないと思いますので、官報に掲載されたとしてもそこから知られるリスクは低いでしょう。
手続き終了までつけなくなる職業がある
自己破産の手続きをすると、手続きが完了するまで、警備員、保険の募集人や宅地建物取引士などの職業につけなくなります。
主に国家資格が必要な職業や他人の財産を預かったり、保全したりする職業に対して制限されていることが多いようです。
また、この職業制限は自己破産手続きの間の一定期間であり、一生続くわけではありません。
管財事件であれば半年から8か月程度、同時廃止事件であれば2か月から3か月程度と考えておけばよいでしょう。
保証人や連帯保証人に請求がいく
奨学金などを借りた際に、連帯保証人などの保証人がいる場合もあるかと思います。
その際に、自己破産手続きをすると、その後は、連帯保証人などの保証人に請求がいくことになります。
返済を免除されない債務がある(非免責債権)
自己破産手続きにおいて、免責される債務とは、原則として、破産申立日以前に発生した債務です。
しかし、免責の対象外となる債務も存在します。
例えば、交通事故などの加害者として悪意で加えた不法行為に基づく賠償請求債権や、社会保険料や税金などの公的債務などが挙げられます。
管財事件の場合、破産管財人に支払う費用が発生する
自己破産手続きをするには、裁判所に一定の費用が掛かります。
最低限必要なものは、申し立てに掛かる印紙代、切手などの郵送に掛かる郵券代等で数万円になります。
さらに、一定の財産がある場合などは、破産管財人が選任されるため裁判所により異なりますが、おおむね50万円ほどの費用が掛かります。
ただし、財産などがない場合は同時廃止事件となり、管財費用がかかりません。
また、裁判所によっては費用が20万円ほどの少額管財事件もあります。
管財事件の場合、財産を手放す必要がある
管財事件の場合、破産手続き開始決定がなされると、財産の管理・処分権は破産管財人に移ります。
そして、その財産は破産管財人によりお金に換えられて、債権者に分配されることになり、破産者の財産はなくなります。
ただし、すべての財産を手放すことになると生活が立ち行かなくなる可能性があるため、一定の財産を残すことは可能です。
これを自由財産といいます。
【自由財産とされるもの】
- 一定の現金(東京地方裁判所の場合は99万円以下)
- 生活上欠くことのできない家財道具等
- 給料や退職金の4分の3など
- 財産価値が20万円以下の預貯金や自動車等
管財事件の場合、郵便物が破産管財人に転送される
管財事件の場合、自己破産の手続の間、破産者宛の郵便物は破産管財人に転送されます。
そのため、破産者は自分宛の郵便物を直接受け取ることができません。
なぜなら、破産手続を公平に遂行するためには、破産者の債務や財産の状況をきちんと把握する必要があるからです。
管財事件の場合、引っ越しや長期の旅行の際に裁判所の許可が必要となる
管財事件の場合、自己破産の手続の間、破産者は自由に居住地を離れることはできません。
ただし、裁判所の許可があれば引っ越しや旅行も可能です。
自己破産の種類、管財事件と同時廃止事件
自己破産の手続きは大きく分けて、「管財事件」と「同時廃止」の2種類あります。
管財事件とは?
「管財事件」は、破産法上の原則的な手続であり、破産管財人が選任される自己破産手続きのことです。
破産管財人は、破産者と債権者の間に入り、破産手続において財産の管理及び処分をする権利を有する人のことを指します。
裁判所に選任された弁護士が破産管財人になります。
同時廃止とは?
「同時廃止」とは、破産管財人が選任されず、破産手続きが開始されると同時に破産事件を廃止する例外的な取り扱いのことをいいます。
書類上、明らかに財産がない人や免責をする上で特段の問題もないという場合では、簡易な「同時廃止」が選択されることもあります。
「同時廃止」は、破産手続きとしては例外的な取り扱いですが、実際の個人の破産手続きにおいては、財産がない方がほとんどであるため「同時廃止」が選択されることは多いです。
少額管財事件とは?
管財事件のうち、「少額管財事件」と呼ばれる手続きがあり、大都市の裁判所など特定の裁判所で運用されています。
少額管財事件は、管財事件よりも手続きが簡略化しており、裁判所に納める予納金が少額で済むメリットがあります。
ただし、少額管財事件は、弁護士が申立代理人となる必要がある点など注意が必要です。
Q&A
自己破産をすると選挙権はなくなる?
自己破産手続きをしても選挙権には一切影響はありません。
自己破産をすると住民票や戸籍に記載されるの?
自己破産手続きをしても、住民票や戸籍にその旨の記載はなされません。
自己破産をすると家族に影響はある?
①破産者の持ち家である自宅に同居している場合
基本的に破産者の財産はすべて処分されてしまいますので、自宅も例外ではありません。
そのため、自宅に同居している家族は自宅が処分されたときに引っ越すことになります。
②破産者名義の車を共同で利用している場合
自宅の場合と同じで、原則として車も処分されます。
しかし、財産価値が著しく低い場合は、処分しても債権者への配当に充てられないため、処分されない可能性もあります。
③家族が保証人になっている場合
自己破産の手続き中に、家族に請求がいくことになります。
④家族と不動産を共有している場合
破産者名義の不動産は原則処分されるため、不動産の持分のみが他人に取得される可能性があります。
自己破産したことが勤務先にばれる?
原則として、自己破産をしたことを裁判所等が誰かに通知することはありません。
したがって、原則として勤務先に知られることはありません。
ただし、官報に記載されるので官報を確認するような会社であれば知られる可能性はあります。
また、勤務先から借り入れがある場合などは債権者に通知されるためその限りではありません。
自己破産をすると生命保険や学資保険についてはどうなる?
生命保険や学資保険など、解約返戻金がある保険については金額によって、解約しなければいけない場合があります。
各裁判所によって違いはありますが、おおむね解約返戻金の金額が20万円以上の場合は、原則として解約され債権者への配当に回されることになります。
自己破産をしても年金は受け取れる?
公的年金の受給権は、法律で保護されているため、自己破産をしても影響はありません。
したがって、自己破産をしても年金を受け取ることができます。
自己破産手続きの流れ
- 司法書士等の専門家に依頼をすることで、各債権者に受任通知が届き、督促が停止する。
- 司法書士が債務の調査及び収入や支出を確認して、破産申立書の作成をする。
- 通帳や、借入の経緯説明書など必要な書類等の準備及び報酬等の分割支払い。
- 書類作成及び分割支払いが終わったら裁判所に申立て書提出。
- 裁判所での面接(破産者審尋、弁護士に依頼した場合は原則不要)。
- 自己破産手続きの開始決定(同時廃止の場合は、決定と同時に自己破産手続きの廃止決定もなされる)。
- 裁判所は、債務者の自己破産の事実を公告します。
- 管財事件の場合は管財人が選任され、財産の換価配当業務などが行われる。
- 裁判所での面接(免責審尋)
- 免責許可または不許可決定
免責不許可事由
自己破産を申請した債務者に対して、免責不許可事由が認定されると、すべての債務について免責されないため返済義務が残ります。
以下は、自己破産の免責不許可事由の例です。
- 収入に見合わない買い物や遊興などの「浪費」
- パチンコ・パチスロ・競馬・競艇・競輪などの「賭博」
- 株取引・FX取引・先物取引・仮想通貨取引などの「射幸行為」
- 一部の債権者を除外するなど、虚偽の債権者名簿等を提出したこと
- 一部の債権者にのみ返済するなど、他の債権者を害する返済や担保の設定をしたこと
- 自己の財産を、隠匿、損壊、贈与など債権者にとって不利益となる場合
まとめ
どの手続きが自分にベストなのか分からない場合は、弁護士や司法書士の専門家に一度相談してみるのが良いでしょう。
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