個人再生後の支払いは月々いくらになる?返済が難しくなったときの対処法もあわせて確認!

2023.10.06 個人再生
個人再生後の支払いは月々いくらになる?返済が難しくなったときの対処法もあわせて確認!

個人再生は、裁判所により借金を減額してもらったうえで、それを返済していく手続きですが、手続きの内容により借金の減額幅は異なります。

本記事では、手続きごとの返済額や、返済が困難になった場合の対処法などを説明します。

個人再生をしたら総返済額と月々の返済額はいくらになる?

返済額は手続き方法で異なる

個人再生とは、借金の返済総額を少なくして原則3年間で分割して支払う手続きです。

この個人再生の手続きには2つの種類があり、個人再生後の総返済額と月々の返済額はどちらの手続きを行ったかによって決まります。

 

・小規模個人再生

小規模個人再生は、主に自営業者を対象とした手続きで、これを利用するには次の条件を満たしていることが必要です。

①借金の総額が住宅ローンを除いて5,000万円以下であること

②将来にわたり継続した収入を見込めること

 

・給与所得者個人再生

給与所得者個人再生は、主に会社勤めの人を対象とした手続きで、これを利用するには、小規模個人再生での二つの条件に加え、次の条件を満たしていることが必要です。

③給与等の定期所得があり、その金額が安定していること

 

小規模個人再生で手続きしたときの返済総額

小規模個人再生の場合の返済総額は、以下の表の最低返済額と、有している財産を処分した場合の清算価値を比較して高い方の金額が返済総額となります。

 

負債総額

手続き後の最低返済額

100万円未満

総額全部

100万円以上500万円以下

100万円

500万円を超え1,500万円以下

総額の5分の1

1,500万円を超え3,000万円以下

300万円

3,000万円を超え5,500万円以下

総額の10分の1

 

給与所得者等再生で手続きしたときの返済総額

給与所得者個人再生では、小規模個人再生の返済総額と、自身の可処分所得額の2年分を比較して、高い方の金額が返済総額となります。

※可処分所得額=自身の収入の合計額から税金や最低生活費などを差し引いた金額

返済期間と月々の返済額

個人再生の返済期間は原則として3年間、特別の事情があるとしア番所が認めた場合は5年間で返済することになります。

そのため、前述の基準で求められる返済総額を、3年間の返済であれば36分割で、5年間の返済であれば60分割で返済していくことになります。

個人再生で月々の返済額を減らす方法

小規模個人再生で手続きする

個人再生での返済額をできるだけ減らしたい場合は、小規模個人再生を検討すると良いでしょう。

個人再生の弁済額は、小規模個人再生の場合は①負債総額と②財産の清算価値を比較して高い額が返済額となりますが、給与所得者個人再生では、この二つに加えて③可処分所得額2年分という基準も加わります。

可処分所得は、個人再生をする人の収入から税金や最低生活費などを差し引いて換算しますが、生活費は生活保護を基準とした金額を参考としており、小規模個人再生の基準となる①負債総額と②財産の清算価値を上回ることが多くなります。

そのため、小規模個人再生の方が、給与所得者個人再生より返済額を抑えられる可能性があります。

ただし、小規模個人再生では一定割合の債権者が反対した場合には手続きが廃止されるなど、給与所得者個人再生より手続きが複雑です。小規模個人再生を進めたい場合は、弁護士や司法書士に相談をした方が良いでしょう。

財産の価値を減らす

小規模個人再生を選択しても、負債総額より財産の清算価値が高い場合は後者が返済総額の基準となります。

清算価値に計上される財産の基準、計算方法は裁判所によって異なりますが、一例として以下のようなものが清算価値に計上されます。

 

  • 不動産
  • 自動車
  • 預貯金
  • 保険の解約返戻金
  • 退職金の一部

 

 そこで、財産の価値を減らすことができれば、その分を財産の清算価値から控除して、個人再生による返済総額を減らすことができます。

 例えば、次のようなものは清算価値の計算から控除できる可能性があります。

 

  • 住宅ローン
  • 滞納している税金
  • 個人事業主であれば従業員への未払い賃金
  • 生命保険の契約者貸付金

 

可処分所得を見直す

給与所得者個人再生は手続きが簡略化されている分、負債総額・清算価値に加え可処分所得額も返済額の基準となります。

可処分所得が多ければその分返済総額も上がるため、次のような対策が挙げられます。

 

  • 通勤手当は計算から控除する
  • 家計を同一としている別居の家族を被扶養者とする

 

以上、個人再生の返済総額を減らす方法を挙げましたが、いずれも裁判所により扱いが異なり、また、専門的な知識が必要です。こういった方法を取りたい場合は、事前に弁護士・司法書士に相談をしてください。

個人再生後に返済が厳しくなったときの対処法

個人再生は借金が減額されると言っても、病気や失職などの予期せぬ事情によって返済が厳しくなることもあり得ます。

そのような場合は次のような対処を検討しましょう。

再生計画変更の申立てをする

再生計画が認可された後であっても、やむを得ない特段の事情で再生家核に沿った返済ができなくなった場合は、再生計画の変更の申立てにより、弁済期間を最長2年まで伸ばすことができます。

 

再生計画の変更には以下の二つの条件があります。

 ①再生計画で定められた最終弁済期限までに申立てを行う

 ②やむを得ない事情によって再生計画通りの返済が著しく困難であること

たとえ返済が困難になっても、裁判所にやむを得ない事情によって再生計画通りの返済が著しく困難で、計画の変更が必要であることを裁判所に説明する必要があるため、弁護士、司法書士などの専門家にお願いしましょう。

なお、計画の変更ができるのは期間のみで、返済金額の減額はできません。

ハードシップ免責の申立てをする

ハードシップ免責とは、一定の要件を満たした場合のみ、残りの借金の返済が免除される制度です。

借金の返済が免除される分、要件は厳しく、次の4つすべてを満たす必要があります。

 

  • 債務者に責任のない事情によって再生計画通りの返済が極めて困難になったこと
  • 再生計画に基づく返済総額の4分の3以上を返済していること
  • ハードシップ免責の認定債権者の一般的な利益に反しないこと
  • 再生計画の延長をしても支払いの継続が困難であること

 

まとめ

個人再生には小規模個人再生と給与所得者個人再生の2種類があり、どちらが適しているかは個人の事情により異なります。 返済金額のみならず手続きの内容、条件も異なるため、個人再生を検討している方は、司法書士などの専門家に相談し、事情に沿ったアドバイスを受けたうえで手続きを進めてください。

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この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号