個人再生手続においてやってはいけないことは何か?

2023.07.04 個人再生
個人再生手続においてやってはいけないことは何か?

個人再生手続きは、申し立てを行えば必ず認められる、というものではありません。

やってはいけないことがいくつかあり、これに該当すると手続きが認められない(棄却、廃止、不認可)ことがあります。

個人再生手続きにおいてやってはいけないことは、

 

  • ①虚偽の申告をすること
  • ②書類や資料を提出しないこと
  • ③財産を移転すること
  • ④履行可能性テストを怠ること
  • ⑤提出期限内に再生計画案を提出しないこと
  • ⑥新たに借入れを行うこと
  • ⑦浪費をすること
  • ⑧債権者の一部にだけ返済をしてしまうこと、

 

の8つになります。

以下詳しく見ていきましょう。

➀裁判所等に対して虚偽申告をすること

個人再生の申し立てを行う場合、裁判所に対して、借入先や借金額、財産状況、家計収支の状況などを正確に申告しなければなりません。

資産や収入を隠す(少なく申告する)」「身内の人や友人からの借金を除外して申し立てを行う」などは、「虚偽の申告」に該当します。

また、申立後に裁判所等から説明を求められた際に、虚偽の説明を行なったり説明を拒否することも、やってはいけないこととなります。

➁裁判所等の求める書類や資料を提出しないこと

個人再生申し立て手続きにおいて必要な書類や資料は、裁判所等に可能な限り提出しなければなりません。

また、申立後に追加で書類や資料を求められることがありますが、それらの書類や資料も可能な限り提出する必要があります。

➂財産を移転すること

個人再生手続きを申し立てる際には、財産目録も提出します。

裁判所は、財産目録に記載された財産を基に個人再生手続き後の返済額を決めていきます。したがって、財産目録には申立人の申立時における財産状況を正確に記載する必要があります。

申し立て直前に自身の財産を少なく見せるために他人へ財産を移転(例えば自動車を他人に譲渡する、現金を他人に贈与する、など)しても、裁判所は移転自体を否認し、財産の減少がなかったものとして取り扱います。

それどころか、不誠実な申し立てを行ったということで、個人再生手続きが認められなくことがあります。

➃履行可能性テストを怠ること

個人再生では、再生計画(返済計画)に無理がないかどうかを判断するため、裁判手続中に申立人がしっかり返済できるかどうかを判断する必要があります。

そのために、積立トレーニング(履行テスト)が行なわれます。

おおよそ半年程度の期間、返済を想定して、月1回決められた金額を銀行口座に積み立てていきます。

この履行テストの積み立てが滞るようだと、再生計画案に従って返済していける見込みがないと判断され、再生計画案が不認可となってしまう可能性があります。

➄提出期限内に再生計画案を提出しないこと

個人再生は、裁判所から「再生計画」の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。

そのため、再生計画案は、申立人が作成して裁判所に提出する必要があります。再生計画案には、提出期限が定められます。

この提出期限内に再生計画案を提出できないと、手続きが廃止されてしまう恐れがあります。

➅新たに借入れを行うこと

個人再生手続きをしようと考えているということは、すでに現状の借金の返済が自力では不可能に近い状況であることがほとんどです。

それにもかかわらず新たな借入れを行うということは、返す意思のない悪意のある借入れであると裁判所に判断される可能性があります。その結果、申し立てが棄却される可能性もあります。

この借入れには、銀行や金融機関の借入れだけではなく、友人・知人からの借入れも含まれます。

➆浪費をすること

ギャンブル、ゲーム課金、無謀な投資などで浪費をしてしまうと、再生計画で立てた返済をするための資金が十分確保できず、途中で返済不能になってしまう可能性が出てきます。

返済不能になってしまうと、再生計画は取り消しとなります。

➇債権者の一部にだけ返済をしてしまうこと

個人再生手続きでは、すべての債権者を手続きに加える必要があります。そのため、裁判所には債権者一覧表を提出します。

例えば友人・知人など、迷惑をかけたくないからというような理由で一部の債権者にのみ偏った返済をしてしまうと、偏波(へんぱ)弁済となってしまいます。

この場合、他の債権者との公平を図るために、偏頗弁済した金額が「清算価値」(所有財産の総額)に加算されてしまいます。その結果、偏波弁済をしなかった場合とくらべて、再生計画における返済額が高くなってしまう可能性があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

実際に直面した場合、判断に迷うケースもあるかもしれません。自己判断で進めてしまうと取り返しのつかないことになってしまう場合もあります。そうなる前に、司法書士や弁護士にご相談してみることをお勧めします。

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この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号