個人再生の手続きにはどのくらいの時間がかかる?手順の流れと費用をチェック!
個人再生は、自己破産とは異なり財産を残したまま借金を減額できる制度です。その分、完了するまで複雑な手続きが必要となりますが、本記事では、イメージしやすいように大まかな流れをご紹介します。
目次
個人再生の手続きにかかる期間と費用
個人再生にかかる時間
個人再生の手続きにかかる時間は、申し立てから認可が下りるまででおよそ4~6か月です。
また、再生計画案の認可が下りた後は、原則として3年かけて減額した借金を返済していくことになるため、手続きが完全に完了するまでは相当な時間がかかります。
個人再生にかかる費用相場
個人再生に係る費用相場は、およそ40万~50万円です。
費用は裁判所に納めるものと弁護士・司法書に依頼した場合の報酬に分かれます。
・裁判所に納める費用(東京地裁の場合)
予納金(官報掲載料) 1万3,744円
郵便切手 約2,000円
収入印紙 1万円
再生委員の報酬 25万円
・弁護士・司法書に依頼した場合の報酬
弁護士 50万~70万円
司法書士 30万~50万円
司法書士の方が、報酬が低い傾向にありますが、司法書士だと権限に制限があるため高額な借金には対応できないケースがあるため、借金の状況により依頼先を選ぶ必要があります。
個人再生の手続きの流れ
1.弁護士や司法書士の事務所に相談する
個人再生を検討しているのであれば、まずは弁護士・司法書士などの専門家に相談をしましょう。
個人再生の手続き進めるには法的な知識が必要で、また、申し立てる裁判所によって微妙に扱いが異なるため、事前知識無くして適切な対応をすることはできません。
専門家と面談をすることが決まったら、半紙をスムーズに進めるために借金総額や債権者などの自身の借金状況をまとめておくと良いでしょう。
2.委任契約を結ぶ
専門家と面談を行い、そこで個人再生の手続きを進めたい場合、正式な委任契約を結びます。
手続きの途中で委任契約を解除しても、それまでにかかった費用や着手金は返金されないため、契約書の内容や費用に関する事項は十分に確認したうえで契約書にサインをしてください。
3.受任通知を送付してもらう
専門家と正式に委任契約が結ばれると、まずは専門家から各債権者に対し、自分が代理人になったという内容の通知が送られます。
受任通知が債権者に到達すると、債権者から債務者に直接連絡することができなくなるため、取り立ても止まることになります。
この際、受任通知を受け取った債権者は、カードの停止や口座の凍結をします。引き落とし先の変更等が必要な場合は、受任通知を出すタイミングを専門家と調整してください。
4.申し立ての準備をする
個人再生の申立ての準備として、必要書類の作成、債権調査が行われます。
債権調査では、各債権者からこれまでの取引履歴を取り寄せ、正確な借金額を把握し、必要であれば過払い金の請求も行います。
5.裁判所に申し立てをする
準備が完了したら、裁判所に個人再生の申立てを行います。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等個人再生」の2種類がありますが、債権調査の結果、適した方を選択し、申し立てます。
申立てから1週間を目安に裁判所によって再生委員が選任され、その再生委員と債務者本人が面談を行います。面談では、借金をした経緯や収支状況等を聞かれることになります。
この再生委員については裁判所によって扱いが異なり、選任されないケースもあります。
6.債務履行テストを受ける
再生委員との面談後、再生委員が選任されない場合は申立てから1週間程度で履行テストが実査されます。
個人再生は、原則3年で減額した借金を分割返済していく手続きです。履行テストでは、本当に分割返済を継続できる経済能力があるかを確かめるため、およそ6カ月間は、毎月指定された口座に一定の金額を入金しなければなりません。
履行テスト終了後は、入金額の全額が返金されますが、再生委員が選任されている場合は、再生委員の報酬が差し引かれます。
7.個人再生の手続きを開始する
1回目の履行テストが済んだあたりで、再生委員が個人再生を開始すべきか意見書を裁判所に提出し、妥当だと判断すれば、裁判所から個人再生の開始決定が出されます。
この個人再生の開始決定は、申し立てからおよそ1カ月はかかることになります。
8.債権の調査・確定が行われる
個人再生の開始決定後は、裁判所から各債権者に対し、個人再生の開始決定と債権届出書が送られ、借金の額が正しいか確認・調査します。
9.再生計画案を作成・提出する
債権調査により借金の額が確定したら、再生計画案の作成・提出を行います。
再生計画では、減額した借金をどのように返済していくかを立案します。再生計画案の提出期限は申立てから3~4カ月が目安です。
10.再生計画案の決議が行われる
申し立てたのが小規模個人再生の場合、提出した再生計画案について決議が行われます。
この決議では債権者の一定以上の同意が必要となり、反対意見が多いと再生手続きは廃止となってしまいます。
給与所得者等個人再生でも、再生計画案について債権者に意見が聞かれますが、反対意見が多かったとしても、次のステップに進むことになります。
11.再生計画の認可・不認可が決まる
裁判所により、再生計画案を認可または不認可するかどうかの決定が出されます。
決定は官報にも掲載され、官報に掲載されてから2週間で決定が確定します。
12.個人再生手続きが完了し返済が始まる
再生計画の認可決定が確定すれば専門家による業務は終了です。
以降は、原則3年間で減額した借金を再生計画に沿って返済していき、返済が完了すれば残りの借金は免除され、手続きは完全に完了となります。
まとめ
以上が個人再生の流れですが、あくまで分かりやすく表現したものなので、実際の手続きはもっと複雑です。専門家に頼らずに手続きを進めることは困難なため、個人再生を検討しているのであれば、まずは専門家に相談をしてください。