個人再生に反対する業者がいるって本当?反対されたときの対処法は?
個人再生は自己破産とは異なり、財産を残したまま借金を減額できるため生活再建に有効な手段です。
その個人再生の手続きでは、再生計画案について債権者が議決を行う工程があるのですが、本記事では、債権者は再生計画案に対して反対意見を出すことがあるのか、債権者から反対意見が出た場合は個人再生の手続きはどうなるか、という点を解説します。
目次
個人再生に反対する業者がいるって本当?
個人再生には「給与所得者等再生」と「小規模個人再生」の2種類があり、どちらを選んだかにより債権者の対応が異なってきます。
「給与所得者等再生」の場合は反対されることはない
給与所得者等再生の場合は、債権者から反対されることはありません。なぜなら、給与所得者等再生の手続きでは、裁判所が債権者に意見を聴取のみで、債権者の決議は行われません。
そのため、多くの債権者が裁判所の意見聴取に対して、再生計画案に反対する旨の意見を回答しても、個人再生の手続き中止されることはないのです。
「小規模個人再生」の場合は反対する業者がいる
これに対し、小規模個人再生では、再生計画案に対して債権者が決議を行う工程が存在し、債権者は反対の意見を出すことができます。
そして、反対を出した債権者が半数以上、または反対した債権者の債権総額が過半数以上の場合は、個人再生の手続きは廃止(中止)となってしまいます。
ただ、実際には債権者の反対により手続きが廃止になる割合は低く、裁判所の統計によると、令和4年に申立てられた小規模個人再生のうち、手続きが廃止されたのは約3%です。
(申立件数9581件のうち322件)
出典:https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/657/012657.pdf
業者が小規模個人再生に反対しれたらどうなる?
債権者の反対により手続きが廃止になる割合は低いとはいえ、反対する債権者が存在するのも事実なので、反対された場合にどうなるかを説明します。
反対されても再生手続きが廃止になるわけではない
債権者が再生計画案に反対したら必ず手続きが廃止になるわけではありません。
上述の通り、手続きが廃止となるのは次の2パターンです。
- 反対を出した債権者の数が半数以上
- 反対した債権者の債権総額が過半数以上
また、次のようなケースでは債権者が反対する恐れがあります。
ほとんど返済をしていなかった場合
ほとんど返済をしていない状態で個人再生を行うと、債権者はお金を貸したにもかかわらず利益を得ることができないため、個人再生を認めるべきではないとして反対される場合があります。
取引の内容が悪い
個人再生の申立て前に高額な借入を行っていると、個人再生による踏み倒しと疑われて反対される場合があります。
債権者が個人の場合
債権者が企業であれば、個人再生の制度を理解して何度も手続きを経験しているため、内部基準に従って反対するかを決め、また専門家の説得に応じてくれることが多いです。
しかし、債権者が親せきや友人のような個人の場合、感情的な面が強く、借りたお金は返すべきとして反対される場合があります。
再生計画に反対された場合の流れ
例として、債権者が4社で債権の総額が300万円のケースで、どのような場合に債権者の反対で手続きが廃止になるかを見てみましょう。
【A社20万円 B社50万円 C社80万円 D社160万円 (4社で総額300万円)】
- A社とB社が反対した場合、反対した債権者数が半数以上であるため手続きは廃止となる
- D社のみが反対した場合、反対した債権総額が過半数以上であるため手続きは廃止となる
業者に小規模個人再生を反対されたときの対処法
債権者が再生計画案に反対する割合が低いとはいえ、反対の債権者が多いと手続きが廃止となるため対策は必要です。
給与所得者等再生で個人再生をする
給与所得者等再生では債権者の決議の工程がないため、反対により手続きがは逸されることはありません。
ただし、給与所得者等再生では、小規模個人再生の返済総額と自身の可処分所得額の2年分を比較して、高い方の金額が返済総額となるため、小規模個人再生より弁済額が上がる場合があります。
他の方法で債務整理をする
給与所得者等再生も難しい場合は、任意整理又は自己破産を行うことを検討してください。
任意整理は、債権者と交渉して借金の返済内容を見直す債務整理です。個人再生のように大幅な借金の減額はできませんが、法律による手続きの定めはないため、交渉次第で柔軟な対応が可能です。
自己破産は、裁判所を介して借金の支払い義務を免除してもらう債務整理手続きです。
個人再生とは異なり、財産は生活必需品ぐらいしか残せませんが、借金はほぼ全額の免除が可能です。
まとめ
小規模個人再生では、債権者の半数以上または債権額の過半数以上が反対した場合、手続きが廃止になってしまいます。
実際に反対により手続きが廃止になるケースは少ないですが、反対が予測される債権者を説得する、給与所得者等再生や別の債務整理を検討するなどの対策は必要です。
専門家であれば債務者の状況に応じた対応が可能ですので、個人再生を検討している方は一度ご相談ください。