税金未納は差し押さえの対象になる?滞納のリスクや対処法を解説

2023.11.21 お金を借りる
税金未納は差し押さえの対象になる?滞納のリスクや対処法を解説

払っていない税金を放置した場合、借金やローンの滞納時のように差し押さえられることはあるのでしょうか。税金を未納にすることのリスクや注意するべきポイントなども気になるところです。

この記事では、税金を未納にした場合にどうなるのか、リスクや注意点についてわかりやすく解説しています。差し押さえを回避するための対処法についても紹介していますので、借金返済や債務整理について知りたい際の参考としてもお役立てください。

税金を未納にしているとどうなるのか

税金を未納のままにしているとどうなるのか、流れや差し押さえの可能性などについて解説します。

1日でも遅れれば滞納となる

税金は何の税金かの種類を問わず、納付期限から1日でも遅れたら滞納とみなされます。例えば、確定申告による所得税の納付期限は毎年翌年の315(口座引き落としの場合は引き落とし日)となります。この日から1日でも過ぎると、滞納した日数分の延滞金が加算されることとなります。

税金未納状態になってからの流れ

税金が未納となった場合に起こる流れは、概ね以下のようになります。

 

督促状の送付

税金が未納となって一定期間が経過すると、地方自治体や税務署などから督促状が送られてきます。督促状には「税金が未納となっているため、期限までに至急納付するように」といった内容が記載されており、納付書も同封されています。督促状がいつ送られてくるかは管轄する地方自治体や税務署によっても異なりますが、滞納が発生してから20日以内には督促状を送るのが原則となっています

 

電話や書面による督促

督促状の送付後も税金の未納が続く場合、電話による連絡や書面による督促も行われるようになります。担当者が自宅を訪問する場合もあるでしょう。

 

催告

再三の催促にもかかわらず税金の滞納を続けると、最終通告として催告などが書面で届く場合もあります。税金の滞納においては、督促状は法律で送付がさだめられていますが、催告については任意に送られるものとなります。催告後は差し押さえの準備として、未納者について差し押さえが可能な財産があるかなどの身辺調査が始まります

 

差し押さえ

未納者の身辺調査が完了し、引き続き税金の納付もされない場合、調査に基づいた財産の差し押さえが実行されます。

無視を続けると差し押さえられる

税金滞納は、最初の督促状送付から10日が経過すると、法的に差し押さえが可能な状態となります。税金の未納状態から督促などを無視し続けていると、早期に財産を差し押さえられてしまう場合も少なくありません。

差し押さえられる財産は預貯金や給与のほか、保険や不動産なども対象となります。不動産や貴金属、高級時計などが差し押さえとなった場合は公売にかけられ、債権などは取り立てが行われます。滞納分の税金に充当されたのち、余剰の財産があれば返却されることとなります。

国税の場合は税務署員が、地方税の場合は自治体の職員が差し押さえの執行を行います。普通の職員と言っても、法律によって強い権限が与えられているため、一度差し押さえられると完納しない限り解除することは不可能となります。

税金を未納にした場合のリスクと注意点

税金の未納を続けた場合のリスクと注意点について解説します。

ペナルティの対象となる

国民の義務の1つである納税を怠った場合、延滞税の加算などペナルティの対象となってしまいます。税金の徴収は優先して行われるため、かなり早い段階で差し押さえられる可能性があると考えておいた方がよいでしょう。

融資が受けられない場合がある

税金を未納にしただけではブラックリスト入りすることはありません。しかし、税金以外にも滞納している借金や利用料などがあれば、事故情報として記録される可能性があります。長期に未納を続けて銀行口座などが差し押さえられた場合、税務署や地方自治体から金融機関へ差し押さえの通知が送られます。金融機関では、融資審査の際に信用できるかどうかを慎重に検討することとなります。差し押さえの過去があった場合は社内でリストアップしている可能性が高く、たとえブラックリストに載っていなくても将来的に融資を受けることが難しい場合もあるでしょう。

債務整理しても税金の支払い義務は残る

「自己破産すれば税金の支払いもゼロになるのでは」と考えがちですが、債務整理をしても税金の支払い義務がなくなることはありません。他の借金がゼロになったとしても、税金は必ず納付しなければならないのです。そのため、納付するべき税金は未納にせず、優先して期限内に納付しておくことが大切となります。

税金未納で差し押さえられないための対処法

税金未納で差し押さえに合わないための対処法としては、以下を参考にしてください。

必ず連絡する

税金が未納状態となった場合、督促状や電話連絡など、相手からのコンタクトは無視せず、必ず対応するようにしましょう。未納状態のまま無視を続けると、比較的早期に差し押さえられてしまう可能性があります。納付する意思があることや、返済予定日の提案をするなど、誠実な態度で臨むことも大切です。

郵便物を無視して捨ててしまっていたり、うっかり見落としていたりしても、未納状態が続いている状態で連絡も取れなければ「払う気がない」とみなされかねません。税金の納付を免除してもらうことはできませんが、失業や病気、災害などで経済的に困難であるなど、事情によっては他の公共料金が減免されたり、支援が受けられたりする場合もあります。「怒られるのでは」「電話に出たら差し押さえられるのでは」と怖がらず、連絡を取るようにしましょう。

分割払いについて交渉する

もし税金を一括で納付するのが難しい場合は、その旨を正直に相談してみましょう。納付期限から1年以内であれば、納付猶予や分割納付が認めてもらえる可能性があります

早期に返済の意思があることを伝えれば、税務署や地方自治体との協議の余地も残されます。

他の借金を債務整理する

税金の納付義務を免除してもらうことはできませんが、債務整理をすることで他の借金やローンを減らすことは可能です。借金が減額できれば月々の返済も楽になり、税金が納付できる状態になる可能性も高まります。

債務整理には、特定の債権者と交渉して利息のカットなどを認めてもらう「任意整理」や、住宅ローンを残したまま借金を大幅に減額して返済できる「個人再生」、一定の財産を処分する代わりに借金をゼロにする「自己破産」、過去に払い過ぎた利息を取り戻す「過払い金請求」などが挙げられます

どの債務整理を選択するかは、現在ある借金の状況や過去の借金、所有している財産や収入状況によっても異なります。税金以外の返済を軽くして、税金を払う方法もあることは知っておきましょう。

返済で困ったら専門家へ相談しよう

現在借金がなくても、過去に完済した借金に過払い金が発生している場合、払い過ぎた利息の返還請求ができる場合もあります。「税金が払えなくて困っているが、借金があるわけではない」という場合でも、債務整理できる場合もあるのです。税金やその他料金の未納、借金返済などで迷った場合は、一度専門家へ相談してみましょう。

まとめ

税金の未納は、1日でも期限を過ぎると滞納とみなされ、延滞金が加算されることとなります。税金未納の状態を続けていると、早ければ1ヵ月程度で差し押さえに合う可能性もゼロではないため、連絡は無視せず、郵便物はこまめに確認することが大切です。税金の納付義務は債務整理しても免除されることはありませんが、他の借金を債務整理することで税金が納付できるケースもあります。迷ったら専門家へ相談し、税金は早期に納付するようにしましょう。

この記事を監修したのは、

admin

寺島 能史

東京司法書士会
会員番号: 第6475号
認定番号: 第901173号