利息の計算方法を解説!払い過ぎて過払い金がある場合の対処法
ローンを組む場合やカードローン・キャッシングを利用してお金を借りる場合、借入先が定める計算方法に従って利息がかかります。
途中で返済できなくなって困らないように、利息を含めた返済総額がいくらになるのか、事前にシミュレーションを行って確認しておくことが大切です。
この記事では、利息計算に関連する用語の意味や利息の計算方法、計算に間違いがあって過払い金があるときの対処法を紹介します。
目次
利息計算に関する基本的な用語の意味と違い
利息計算に関する主な用語には「利子」「利息」「金利」の3つがあります。この3つの用語を混同して混乱しないように、まずは各用語の意味と違いについて確認しておきましょう。
利子・利息とは
利子と利息の意味は基本的に同じで、どちらもお金を貸し借りする際の対価を指す用語です。一般的に「利子を払う」「利息を受け取る」と表現するので、利子は「お金を借りる側」から見たときの表現、利息は「お金を貸す側」から見たときの表現になります。
ただし、定義や使い分けの方法が厳密に決まっているわけではないので、利子と利息は区別せずに使われることもあります。
例えば銀行で用いられるのは利息ですが、ゆうちょ銀行で用いられているのは利子です。いずれにしても意味に違いはありません。
金利とは
金利とは元金に対する利息の割合のことで、利息計算におけるレートのことです。利子や利息は100円や1,000円など具体的な金額で表現しますが、金利は割合なので5%や10%のようにパーセントで表現します。
日歩・月利・年利など金利にはいくつかの記載方法があり、日歩なら1日の割合、月利なら1ヵ月の割合、年利なら1年間の割合のことです。記載されている割合が同じでも、日歩・月利・年利のいずれなのかによって利息計算や利息額が変わってくるので、借入れにあたっては条件をよく確認する必要があります。
利息の計算方法
利息の計算と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、計算式に当てはめれば計算できますし、シミュレーションサイトやアプリ・エクセルなど計算ツールを使えば比較的簡単に計算できます。利息計算はそれほど難しくないので、以下で紹介する方法に従って利息額や利息を含めた返済総額を計算・確認してみましょう。
利息は借入れの額や日数、金利をもとに計算できる
利息の計算式は、以下のとおりです。
- 利息 = 借入額(借入残高) × 金利(年利) × 借入日数 ÷ 365日
借入の額や日数、ローン会社が定める金利を上記の式に当てはめれば利息を計算できます。
また、計算式に当てはめて自分で手計算しなくても、利息計算ができるサイトやアプリを使えば、借入額や金利など基本的な情報を入力するだけでシミュレーションが可能です。無料のツールを活用して、利息額や完済までの期間をシミュレーションしてみると良いでしょう。
返済方式や利息計算に関する詳細な規定はローン会社によって異なるので、毎月の返済額が同じでも利息額や完済までの期間が変わる場合があります。ローン会社のシミュレーションサイトを使えば、会社所定の計算方法に則って利息を計算できるので活用しましょう。
利息計算の具体例
年利18%で10万円を1ヵ月(30日)借りた場合、利息額は以下のように計算できます。
- 利息 = 10万円 × 18% × 30日 ÷ 365日 = 1,479円
1ヵ月後に全額を返済すれば利息は1,479円なので、元金と利息を合わせた返済総額は101,479円です。しかし月々1万円を返済する場合は、次の1ヵ月は1万円を返済した後の借入残高9万円に対して1ヵ月(31)日分の利息がかかります。
- 利息 = 9万円 × 18% × 31日 ÷ 365日 = 1,375円
毎月返済していけば借入残高が減るので、月々にかかる利息も減っていきますが、借入残高がある間は利息がかかり続けることになります。
利率の上限
お金を貸すときの利率は貸す側に決める権利がありますが、あまりに高く設定したり法外な利息を請求できたりするわけではありません。法律によって上限金利が定められているからです。貸金業者が上限を超える利率を設定している場合は違法となります。
お金を貸すときの利率の上限
借入額に応じた金利の上限は、利息制限法によって以下のように決まっています。
元本 |
上限金利(年利) |
10万円未満 |
20% |
10万以上100万円未満 |
18% |
100万円以上 |
15% |
利息制限法による上限金利を超えた分の利息は、無効であり返済する必要はありません。既に返済してしまった場合は元金を支払ったものとして扱い、利息計算をやり直すことになります。元金の支払いに充てても払い過ぎた分があれば、過払い金返還請求が可能です。
遅延損害金に対する利率の上限
返済が遅れると返済期限の翌日から遅延損害金が発生しますが、この遅延損害金の利率についても利息制限法で上限が定められています。
元本 |
上限金利(年利) |
10万円未満 |
29.2% |
10万以上100万円未満 |
26.28% |
100万円以上 |
21.9% |
借入れをしたとき、遅延損害金の利率に関する合意がない場合には法定利率3%が適用されます。また、消費者金融等からの借入れに関する遅延損害金については、利息制限法に別の規定があるため上限は一律20%です。20%を超える部分は、無効となります。
利息が法律の上限を超えていたら?過払い金がある場合の対処法
利息計算に間違いがあると、過払い金を請求できる場合があります。一般的には、以下で紹介する流れで対応することになります。
1.取引履歴を取り寄せて引き直し計算を行う
利息を計算し直して過払い金がいくらあるのか計算するためには、貸金業者から取引履歴を取り寄せる必要があります。取引履歴の開示請求は貸金業者のウェブサイトや店舗窓口などで行うことができ、開示までにかかる期間は一般的に1~2ヵ月程度です。
本人からの開示請求であれば貸金業者は応じる必要がありますが、中には開示請求をしても適切に対応してくれない場合があるので、開示請求は弁護士や司法書士に任せるほうが良いでしょう。
取引履歴が届いたら引き直し計算を行います。引き直し計算とは、利息制限法の上限金利に基づいて取引内容を計算し直すことです。上限を超えた利息をすべて元本に充当して正しい債務残高に計算し直し、元本に充当しても払い過ぎている分がある場合には過払い金請求を行うことになります。
引き直し計算では、専門的な知識が必要になるので弁護士や司法書士に依頼することをおすすめしますが、過払い金を計算できる無料のツールを使えば、ご自身で計算することも可能です(ただし、貸金業者が過払い金の返還請求に応じてくれないケースもあるので、計算ツールで表示された金額が必ず戻ってくるとは限りません)。
2.内容証明郵便で計算書と過払い金返還請求書を送る
引き直し計算を行って過払い金の額が確定したら、計算した結果を記載した「引き直し計算書」と、返還を請求する旨を記載した「過払い金返還請求書」を貸金業者に送付します。
10年の時効が成立する前に請求を行ったのか、請求をした日付が重要になるので、貸金業者に送付する際には内容証明郵便で送るようにしてください。内容証明郵便にすることで、いつどのような内容で郵送したのか記録が残り、後々に裁判になった場合に証拠として使うことができます。
3.債権者と交渉する
過払い金返還請求書を送ると貸金業者の担当者から連絡が来るので、返金してもらう金額や日にち、支払方法について交渉します。
交渉がうまくいって納得いく金額で返金を受けられる場合は、和解して合意書を交わすことになりますが、実際には交渉で十分な金額を返還してもらえない場合が少なくありません。
引き直し計算で算出した金額より少ない返還額を貸金業者が提案してくる場合や、返還を先延ばしにされたり分割支払いを提案されたりする場合があるので、交渉を進める際には、ご自身にとって不利な内容に誘導されないように注意が必要です。
貸金業者の担当者は過払い金請求対応に慣れていることが多く、経験や知識があるプロを相手に一般の方が自分で交渉するのは簡単ではありません。過払い金の対応は、弁護士や司法書士に依頼することを検討してみてください。
4.過払い金返還請求訴訟を起こす
貸金業者との交渉がうまくいかない場合や相手がそもそも交渉に応じない場合には、訴訟を起こすことになります。裁判を起こすためには、訴状の作成・提出が必要です。
裁判では、およそ1ヵ月に1回行われる口頭弁論で双方が主張を述べることになります。解決までにかかる期間はケースによって異なりますが、1回目や2回目の口頭弁論が終了した段階で貸金業者から和解案を提示してくるケースが傾向としては多いです。
ただし、判決が出た後に相手が控訴するケースもあるので、過払い金の返還を受けるまでに時間がかかることもあります。なお、訴訟を起こして過払い金を請求する場合は、交渉による場合より多くの金額を回収できるケースが一般的です。
まとめ
借入れに対してかかる利息は、借入額や金利、借入日数などをもとに計算できます。無料のシミュレーションサイトや計算ツールを使えば簡単に計算できるので、借入れをする際には利息や利息を含めた返済総額がいくらになるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
金利には利息制限法による上限があるので、無制限にどのような利率でも認められるわけではありません。金利の上限は、元本が10万円未満なら20%、10万以上100万円未満なら18%、100万円以上なら15%です。
上限を超える利率で計算されていて利息を払い過ぎているケースもあるので、現在返済中の方や過去に返済を終えた方は、過払い金がないかどうか確認することをおすすめします。弁護士や司法書士に相談・依頼すれば、過払い金の計算や貸金業者との交渉、裁判対応まですべて任せられる点がメリットです。
過払い金について気になる方は「スマサポ」にお気軽にご相談ください。